キングサイズのベッドの上で<前編>-3
「隆は幸せものですね……」
「は? お、俺?」
「はい…… こんなおっきなおっぱいにいつも抱かれているなんて…………」
そう言っては、いつのまにか手を前にまわしていたユイが、
人目もはばからず私の胸をギュッと揉みしだいた。
「こ、こらっ ユイ!」
「何を食べたらこんなに大きくなるのか…… 小一時間問い詰めたい気分です…………」
私は慌ててユイを引き離すと、
手で胸元を隠しては、恥ずかしさに顔を赤らめる。
「も、もうっ…… こんなところで…………」
「えへ、じゃぁ今度また人目のない場所で二人っきりの時に…………♪」
その言葉にいっそう顔を赤らめた私は、思わず隆の顔を見ると、
まるで言い訳をするような目をしながら、
必死でぶんぶんと頭を横に振っていた。
「ほ、ほらっ 馬鹿な事言ってないで………… 一緒に泳ごう?」
「お、おい? また変なヤツに絡まれるなよ?」
「大丈夫です! 隆はそこからしっかり私たちを…………」
「い、いいから早くっ!!!」
そう言って私はユイの手を取ると、
まるで隆から逃げるように急いで海岸へと走り去っていった。
「もうっ…… 隆の前であんな事言っちゃ駄目でしょ?」
「くす、いいじゃないですか? ユイは本気ですよ?」
「ほ、本気って…………」
「くすくす…… 心配ないです! 本気と言っても隆との間を邪魔するつもりはありませんから……」
にこにこ笑顔でそう言っては、私の首に手をまわしたままじゃれ合うユイ。
言いたい事はわかっている。
必要以上に私がユイを意識しているのも、
そしてそんな私をユイが和らげようとしてくれているのも。
けれど、どうにも私は隆に妙な後ろめたさを感じてしまっては、
うまくいつもの自分でいられなくなっているのだ。
「姉様? そんなに難しく考えなくていいのですよ?」
「だ、だって…………」
「私は姉様も隆もどちらも大好きです♪ 姉様も…… でしょ?」
「…………そ、そうだけど」
「ただ矢印の大きさそれぞれ違うくて、向きもまた違う………… それだけの事です♪」