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王様じゃんけん
【幼馴染 官能小説】

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キングサイズのベッドの上で<前編>-4

矢印の向き──言い得て妙なその表現が私の頭を整理する。
ユイの矢印が隆と私に向かっているように、私の矢印もまた隆とユイに向かっている。
けれどユイは私への矢印が大きいのに対して、
私の矢印はユイより少しだけ隆への方が大きいのだろう…………

「ユイ………… 私……」
「もうっ 姉様がノン気なのははじめから知っています!」
「そ、それはそうなんだけど…………」
「でもっ それでも私の気持ちを大切に想ってくれるから安心して私は姉様を好きでいられるのですよ?」

こんな所にまで来て、ウジウジとまた答えのない事に悩み出す私を、
相も変わらず年下のユイが優しく諭してくれている。

「だ、だけどっ それじゃぁユイは…………」
「ひとりぼっちになる………… とでも?」
「うっ………… うん……」
「なら姉様は隆を捨てて同性愛者になってくれると言うのですか?」
「そ、それは…………」

ストレートなユイの問いに答えを詰まらせる私。
それは無理──とはっきり言い切れない自分が煮え切らなくて腹立たしい。

「もしも…………」
「え?」
「もしも姉様が隆を捨てて同性愛者になったら………… 私はきっと姉様から離れてしまいますよ?」
「…………えっ? な、なんでっ???」

思いも寄らぬユイの言葉に動揺する私。
私の中ではてっきりそれがユイにとって最善かと思っていた。
もちろん同情なんかではなく、心底私がそうなればの話だが…………

「姉様は大事な事を忘れています!」
「だ、大事な事って…………」
「私が隆も好きだと言うことです!!!」
「そ、それはっ…… わかってるつもりだよ?」

ユイの言葉に私はいっそう慌てふためく。
そう、私たちは隆という同じひとりの男を愛してしまっているのだ。
その度合いこそ比べようはないけれど、
大切な男性という事に変わりはない。
そんな事、充分に承知のつもりなのだけど…………

「わかってるならっ なぜ隆を蔑ろにするですか?」
「…………え?」
「姉様は私が隆を弄んだと感じた瞬間、思うより先にユイを叩くほど怒りましたよね?」
「そ、それは私の勘違いで…………」
「勘違いかどうかなんて問題じゃありませんっ 重要なのはその想いです!」
「…………うん」
「同じようにユイだって………… 隆を蔑ろにされたら………… 怒るです…………」

そう言ってユイは目に大粒の涙を溜めたまま、
真剣な目で私を見つめるていた。


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