ビーマイベイベー!-5
一週間経った。
いくらかトラブルはあったが、思いの外、わたしもシノブもうまくやっている。
あれ程嫌がっていた女物の制服も、シノブが違和感なく着こなしているのが面白い。
まぁ、外面はわたしなので違和感が無いのは当たり前なのだが。
わたしの方は、特に問題はない。というか、むしろ男のほうが楽かもしれないと思う。
あまり身だしなみとか気にしなくていいし、人間関係もシンプルな気がする。
強いて言うなら、トイレはちょっと困った。
立ってするのに慣れないし、他の男の子のモノがうっかり見えたりするのが、どうにも嫌だ。
かと言って不用意に個室に入ると、う○こ野郎呼ばわりする阿呆男子がいるのが始末に終えない。
結局、人の少ない体育館とかにまで行って、そこのトイレを使わざるを得ない。
面倒なことだった。
シノブはというと、やはり女の子とうまくやっていけるかが問題だった。
無骨な男がそんなに急に口数を増やして、わたしと同様にやれるはずもなく、随分大人しくなったなともっぱらの評判になってしまった。
何か体の具合が良くないの? 失恋でもしたの? 悩み事でもあるの?
様々な憶測を呼んで、シノブは問いかけられたが、なんとか曖昧に誤魔化していた。
わたしとシノブの関係は、表沙汰にしていない。
だから、わたしの彼氏がシノブであるとは、当然誰も知らない。
わたしはオープンにしても良かったが、シノブが嫌がるのである。
一応わたしからシノブに告白して、強引に付き合いを迫った関係上、彼の意向に従わざるをえない。
こういう事は、やはり惚れたほうが弱いなと思うが、一応成就した恋愛であるので文句は言えない。
シノブが物憂げな表情をしていた。
慣れない生活で、かなりストレスが溜まっているのだろうなと思った。
ただ、実は少々わたしもストレス、というか何かが溜まっているのだ。