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満月綺想曲(ルナ・リェーナ・カプリチオ)
【ファンタジー 官能小説】

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狼さんは心配性。(注意、性描写あり)-4

 淡水魚のからあげ、温野菜のサラダ、干しぶどうと鶏肉のピラフ……
 テーブルに並んだ異国の料理は、ラヴィが初めて見るものばかりで、どれも美味しかった。

「これ、家でも作れるかしら?」
「作ってくれると嬉しいな。俺もこれ、好きなんだ」

 ルーディは何でも美味しそうに食べてくれるから、ラヴィも作り甲斐がある。
 新しい料理のエパートリーを増やせるよう、熱心に味わった。
 それでもルーディに話しかけられるたび、ドキドキする。
 何しろ、出会った日から一緒に暮らし始めてしまったから、恋人同士のありがちな段階を、色々とすっ飛ばしてしまった。
 特に不満はないけれど、やっぱりこういうのは嬉しい。

 入った時はまばらだった客数も、少したつと急に混み始めてきた。
 両隣の席にも人が座り、すだれ越しに人影と賑やかな笑い声が届く。

「っ!?」

 不意に、スルリと太ももを撫でられ、食べかけのパンを落としそうになった。

(ルーディ!?)

 小声で抗議するが、横からイタズラずる手は止らない。
 それどころか、テーブルクロスに隠れているのをいい事に、スカートをたくし上げ、じかに肌をまさぐりだす。

(ラヴィ、なんで俺が向かいじゃなくて隣りに座ったと思ってた?)

 意地悪い笑みとともに、そっと耳元で囁かれ、心臓が跳ね上がる。

(ラヴィは可愛いんだから、男の誘いに簡単に乗ると、こういう事になるの)
(そん……な……っ)
「食べないの?」

 ルーディが、わざとらしく尋ねる。

「だって……」
「何?」

 顔が真っ赤になるのがわかる。
 すだれでがあるから、両隣に顔ははっきり見えないし、大きな声をあげなければ何を話しているかも知られないだろう。
 けれど、正面には他のテーブルがいくつもあるし、給仕も歩き回っている。
 皆、自分達の食事や仕事に集中していると言っても、何かの拍子に気付かれるかもしれない。

(ルーディ……おねがいだから……)
(もっと触って欲しい?)
「違……っ!」

 叫びそうになって、あわてて口を閉じる。
 テーブルクロスの下で、ルーディの指が足の付け根にまで移動した。
 両足に力をいれ、精一杯固く閉じるが、下着を柔らかく撫でられると、腰が砕けそうになる。

(あ……やぁ……)

 さっきまで気にならなかったのに、急に周囲の人々がこっちを気にしているような錯覚に陥る。

(だめ……や……)

 必死になんでもない素振りで食事をしようとしても、手が震えていう事を聞かない。
 ジュースのグラスを取り落としそうになったら、ルーディが空いてるほうの手で受け止めてくれた。

「はい」

 手を添えられ、なんとか一口だけ飲んだ。

「ん……んくっ……」
(ラヴィ、こういうので興奮する?)

 力の入らなくなってきたふとももの間に指を滑り込ませ、ルーディが囁く。

(そんなわけ……)
(でも、濡れてきてる)
(や……っ)

 下着の横から差し込まれた指が、証明するようにぬめりをなで広げる。

「っん!」

 堪えきれず、小さい悲鳴が上がった。
 指はさらに大胆になり、つぷんと一本差しこまれる。

(っあぅ、あ……)

 腰掛けたままだから浅くしか入らないけれど、こんな場所で……
 自然に振る舞わねばと思うほど、かえって動悸が増し、自分の吐きだす熱い息にも煽られる。
 頭がクラクラして、イタズラを仕掛けてる張本人に、もたれかかってしまう。

(あー、やっぱりダメだ)

 なんとなく悔しそうに、ルーディが呟いた。

「っく!」

 指が引き抜かれ、いわゆるお姫さま抱っこで抱え上げられた。
 ぼうっとしたまま、二階の宿泊部屋に運ばれる。
 部屋なんか、いつの間に取ったのかと思ったら「店に入ってすぐ」しれっと返された。


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