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満月綺想曲(ルナ・リェーナ・カプリチオ)
【ファンタジー 官能小説】

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狼さんは心配性。(注意、性描写あり)-3

 市場からしばらく歩くと、旅人で賑わう宿場通りに着く。
 宿屋はたいてい、食堂も兼ねているし、料理の良し悪しで宿の評判は大きく左右される。
 よって、ヘタな酒場よりも食事の旨い宿屋がざらにあるのだ。
 
 まだ夕食には早い時間だったが、目当ての宿は人気なだけあって、もう客が入り始めていた。
 ルーディが顔見知りの店員と話している間、ラヴィは落ちつかなげにキョロキョロ辺りを見渡している。

 静かな席が良いと頼み、かべ際の席へ案内してもらった。
 ここは本来なら、四人がけ用らしい。
 真四角のテーブルは、壁際に据え付けられた長いベンチ二人分の大きさで、向かいにも椅子が二つ置いてある。
 ラヴィをベンチの方に座らせ、ルーディも椅子ではなく横へ腰掛ける。
 各テーブルの間には、簡素なすだれがかけられており、まったく見えないほどではないが、隣客の姿や会話が露になりにくい。
 多国籍な料理の他に、こういう工夫でも、この店は人気を集めていた。

 適当に注文をし、運ばれてきた料理を食べ始める。

「考えてみたら、ラヴィと外で食事をするのは初めてだ」

 何しろラヴィは料理が好きだし、作るものはどれここれも美味しいから。

「ええ、そうね」

 ラヴィは答えながら、壁にかけられた異国のタペストリーや水槽で泳ぐ東の魚などを、もの珍しそうに眺める。
 そしてルーディに視線をうつし、ちょっと顔を赤くした。

「……デートしてるみたい」

 小さな声でそう言ったのが、ちゃんと聞えた。



ーーくぁぁ!!この場で押し倒したい!!





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