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【女性向け 官能小説】

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あたしの友達-3







「おう、上がれよ」


広瀬のアパートにたどり着いたあたしは、慣れた手つきでインターホンを鳴らす。


出迎えてくれたのは、煙草を片手に持ちながらほろ酔いしていた陽介だった。


玄関に転がったデカい靴を端に寄せ、サンダルを脱ぎ捨てると散らかったワンルームに足を踏み入れた。


「おー、先に出来上がってるぞ」


見ればほんのり頬を赤く染めた広瀬が、白い歯を見せてニッと笑った。


そんな能天気な笑顔に、胸が高鳴ってしまうのが悔しい。


「あたし、お風呂入って寝るとこだったんだけど」


精一杯の虚勢を張って、ジロッと広瀬を一睨みしたあたしは、ふて腐れながらも彼の隣に腰を下ろした。


「まあまあ、広瀬のめでたい門出なんだから、そんなこと言うなよ」


陽介があたし達の向かいにあぐらをかいて、灰皿に煙草の灰をポンと落とした。


「え、門出って……」


ゾワリと背中に冷たいものを感じた。


……イヤ、聞きたくない。


恐る恐る広瀬の顔を見ると、彼は少し照れたように顔を俯かせながら、


「告ってOKもらった」


と、発泡酒の缶を持ち替えたりしていた。





その瞬間、背中から力が抜けていった。


広瀬が他の女のものになる。


恐れていたことが現実のものとなってしまった。


信じられなかったけど、嬉しそうに酒を飲む広瀬の顔を見てると、夢なんかじゃないと現実に引き戻されてしまう。


あたしは、鼻の奥がツンと痛むのを我慢しながら、


「……よ、よかったじゃん。おめでとう広瀬」


と小さな声で言った。


ヤバい、泣きそうかも……。


他の女に取られるくらいなら、たとえ友達にしか見られてなくても自分の想いをちゃんと伝えていればよかった。


消化不良の想いだけが胸に引っかかる。


眉間に力が入り、下唇を噛んでいると、ふと視線を感じた。


見れば、陽介がやけに殊勝顔でジッとあたしを見つめていて。


……見られてた?



今まで自分の気持ちを押し隠して、バカ騒ぎをやってきたつもりだった。


広瀬はもちろん、陽介にだってあたしの気持ちはバレていないはずだ。


それなのに、ちょっとした気の緩みで動揺した姿を陽介に見られてしまった。


急に焦りが募り、心臓がバクバク鳴り、手のひらに汗が滲んでくる。


広瀬にバレないように、陽介にうまく弁解しないと……!


うまく回らない頭を必死で動かしながら、あたしは陽介の視線から逃れようとした。





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