第三章 出会い-4
「いやあ!結花さん!い、いやあ!」
綾乃が悲鳴を上げる。男性に免疫のない綾乃にとって、それはあまりにも衝撃的な光景だった。悲鳴を上げる綾乃を押さえつけるようにして、結花が綾乃を抱き締める。そして、結花は長い間、綾乃を抱き締めていた。そして、綾乃が落ち着きを取り戻しはじめたころ、結花はゆっくりと話しはじめた。
「こんなに酷いことをして・・・結花のことが嫌いになった?」
「そんなこと無いです・・・ただ、少しびっくりしてしまって・・・」
「私はね、あの人にレイプされたの。それも何度も何度もレイプされて、男がどうゆうものか教え込まれたの。気持ちを切り替えるなんてもんじゃない、調教されたのよ。辛かった。死ぬことも何度も考えたわ。」
「・・・・」
「綾乃にはそんな思いを絶対にさせたくないの。だけどね、結果は間違いなくついてくる。それができれば、綾乃は世界に羽ばたくことができるのよ・・・ 強制はしないわ。よく考えて欲しいの。考えて、もし、綾乃が私を受け入れてくれるのなら・・・私は、綾乃とこの先も歩いて行きたい。」
「コーチ・・・一つだけ教えて下さい。あの男性と、その後、どうしたんですか?」
「あの人と? 今も一緒よ。籍を入れて、一緒に暮らしているわ。」
「幸せなんですね?」
「もちろんよ!」
結花が大きな瞳を細めてニコリと笑った。その笑顔は幸せそのものだった。
映像の中で、結花は愛されることを求め、男性はそれに応えていた。そして、その言葉に偽りはなく、二人は今も愛し合っているのだ。羨ましいと思った。もし、結花とそれほどの関係で新体操に打ち込めたらどんなに素晴らしいだろう。そう思うと自然に言葉が出てきた。
「お願いがあります。結花コーチも私を愛してくれますか?コーチが私を愛してくれるなら・・・綾乃は、どこまでもついていきます・・・それから、もう、遠慮しないで下さい・・・どんなことでも・・・その・・・調教でも・・・愛で結ばれているなら・・・どこまでも一緒です。」
「綾乃、可愛い娘! 愛して良いのね? 本当に良いのなら、女として本気で綾乃を愛するわよ。
そして、私の色に染まってもらう。それで良いのね?」
「はい!」
綾乃が結花を熱く見詰める。そんな綾乃を抱き寄せ、結花は静かに唇を重ねた。
続く