エスカレートする嫌がらせ-4
このひとは自分で何を口走っているのかわかっているのだろうか。もともと根性のねじ曲がったひとだとは思っていたけど、本人の口から聞かされるとまた別の感慨が湧く。
結婚式の時も「ワタシたちは結婚式やっていないのにずるい!」とか言ってわたしのウエディングドレスにワインをぶっかけに来たし(そばにいたウエイターの子が助けてくれて未遂に終わったけど)、自分の旦那の収入と、うちの旦那の収入を比べて明らかにこっちのほうが多いのが気に入らないらしく「ふたりの生活でそんなにお給料いらないはず! こっちに仕送りしろ!」と騒ぎ立てたり(このときは義母が間に入っていさめてくれた)、結婚当初から散々なことをされてきている。
それでもわたしたちが暮らすのがこのボロアパートだと知ってからは、自分たちのほうがまだマシな場所に住んでいると言って嬉しそうだった。わたしたち夫婦は数年ここで我慢して節約生活を送った後に、お金をためて戸建て住宅を買う予定を立てている。でも、もちろんそんなことを言ったら何をされるかわからないので、ヨネコさんには何も話していないが。
「ヨネコさん、落ち着いて……あ、そうだ、とらやの羊羹があったと思うんですけど」
「いらない! うわああああん」
結局夕方まで好き勝手なことを叫びながら、ヨネコさんは泣き続けた。