THANK YOU!!-10
初めて見る、瑞稀の本気でキレている姿。自分から大声を出した菜美も、それを睨んでいた秋乃も・・驚いて眼を見開いている。
もう長いこと我慢した瑞稀は、それくらいでは止まらなかった。
「そんなに好きならどうして拓斗を傷つけちゃったとき!すぐに謝らなかったの!?私が言えることじゃないけどおかしいんじゃねえの!!」
「謝れるわけないじゃない!!アナタたちがいたんだから!!」
「理由になってない!!本気で謝りたいならいくらでもチャンスはあったはずだろ!!」
「だからバレンタインデーで謝った!!でもあのあとアナタにチョコを渡していて腹立たしかったの!!」
「何で!?拓斗が誰にチョコを渡そうと勝手じゃん!それに怒る権利なんか無い!!」
「ストップ!!」
収拾がつかなくなった言い争いに、やっと我を取り戻した秋乃が止めに入った。
すると、止められたせいか、菜美の怒りの矛先が秋乃に向いた。
「大体、この子が転校してきて挑発するようなこと言わなければ良かったんだ!!そしたら・・私だって!!」
その言葉に、秋乃は言葉に詰まってしまう。
だが・・
「秋乃は関係ない!それに・・転校してきてからこんなことばかりじゃ皮肉だって挑発だってしたくなるに決まってる!!」
「どうかな!?ただ気に食わないだけかもよ!!」
「秋乃の心、傷つけておいてよくそんな事言えるよなっ!!アンタに秋乃の事をとやかく言う資格なんかない!!!」
「・・・瑞稀・・」
瑞稀の言葉に、泣きそうな顔をして俯いていた秋乃が顔をあげた。
そんな時、菜美の後ろに人影が見えた。
「・・・お前ら・・何してんだよ」
「「・・!!」」
今日、ここで瑞稀と待ち合わせをしていた拓斗だった。