THANK YOU!!-5
「で?受験2月でしょ?2月のいつ?」
「早く終わらせたいから2月4日。」
「そ、じゃあ、ウチの方が早く終わるのか」
「そうなの?」
「うん」
瑞稀のところは、4日から受験が始まる。そして、その日に合格発表がある。
秋乃はそれより三日早いが、基本的に同じシステムだ。
「瑞稀。明日にでも鈴乃に言っといたら?同じ学校いけなくなるって」
「・・・うーん・・でも、決まったワケじゃないし・・。」
秋乃は、瑞稀の煮え切らない態度にたいしてため息をついた。
確かに瑞稀は自分のことを話す事を得意とはしていないから、嫌がるとは思っていた。
だが、自分たちはもうすぐ卒業なのだ。
中学が離れてしまったら簡単に会うことができなくなる。
勿論、日曜日に時間を合わせて待ち合わせをすれば会えるだろうが。
「あのね。中学受験ってあんまし落とさないんだよ?」
「え!?そうなの!?」
仕方ないと、秋乃は裏話を持ちかけることにした。
そうとも知らずに、瑞稀は引っかかる。
「そ。まあ平均取れればね。」
「・・・マジか・・」
秋乃から話された事実に、驚いた瑞稀は「それなら勉強しなくていいかな」と少し思ったが、それだと本気で受験をしている人たちには申し訳ないと思い直した。
何しろ、目の前にいるんだから。そういう人が。
「・・・じゃあ・・明日話そうかな。」
「うん。そうしな。」
さっきと逆転。
秋乃の簡単な罠にハマってしまった瑞稀は、自分の言葉を訂正した。
こういうところは、ダメな所だと思う。
そう頭の片隅に思いながらも、受験にため息を着いた。
・・・こんな話も、一ヶ月前の話。
今は、2月14日。世間で言うなら聖・バレンタインデー。
お菓子業界の企みがどうとかっという日。