変わり者の錬金術師(注意、性描写あり)-8
「はぁーー……」
深い深いため息をついて、うな垂れた。
『どうしたらいいか、教えて』だって?
あれを計算でやってるんだとしたら、とんでもない妖女だ。天然だったら、タチが悪いにもほどがある。
なんだってあんなに俺の好みなんだと、いっそ腹がたつほどだ。
あのまま抱いてしまおうかと、どんなに思ったか!
幸か不幸か、媚薬の効果に不足は無い事は十分解った。
中和剤の験しがまだだが、あれはもう他の人を探そう。
とにかく、明日の朝一にでも、つてをたどってラヴィをひきとってくれる人を探す!
「すぐお別れだ。…………絶対、明日の朝一番で」
(中和剤が出来るまで、もう少しの間、ラヴィをここに引き止められるじゃないか)
という誘惑の声に抗うため、ブンブンと、激しく頭をふった。
『じゃあさ、今度作ってよ!』
不意に、昼間の会話が脳裏に蘇った。
つい口にしてしまった、果たされるはずもない口約束。レシピも材料も、簡単に手に入るけど……
“今度”だって?あまりのアホらしさに笑いたくなる。
「……いつのつもりだよ。もう二度と会わないのに」
仕事柄とはいえ、俺はつくづく嘘つきだなぁ、と思う。
「明日にはお別れだ……まぁ、明後日でも…………もう少し後かもしれないけど……」
窓から夜空を見れば、夜空に慎ましやかな細い月が輝いている。
普段であれば、鎮静剤すらいらないほどの月だ。
それでも、今夜は一走りして来なければ、とても眠れそうに無い。