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富子幻舞
【歴史物 官能小説】

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富子幻舞-13

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―――北山での演舞から強い印象を受けて以来、富子は改めて若き管領・細川勝元に関心を持つようになる。


そんな彼女自身、
あの北山で互いに絡み合った視線の内から、

勝元自身も実は富子に対して関心を持っているのではと思うようになっていた。


無論確たる根拠があったわけではない。

ただ“女の直感”というものだろうか。

女性特有の鋭敏な感覚は、勝元の視線にある種の甘さと和やかさを感じ取っていたのである。










―――北山での能鑑賞から僅か半月後、

富子は自らの直感の正しさを確認することになる。


この時期の富子は、
まだ政治に前面に登場していない。並みいる実力者達が今だに健在であったからだ。

いきおい富子本人は夫に省みられないままに奥行きの生活に堪える毎日であり、
中央政界で幕府の政治を主導し実力者達と渡り合う
勝元と直接の接点を持ちようもなかった。










―――それは意外にも勝元本人からの接触だった。


富子が実家・日野家に事実上の里帰りを果たしていたある秋の夜、


人目を忍んで
勝元1人で日野邸を訪れ、
内密に富子への対面を願ったのである――――

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―――ジリィ・・・ジリジリ・・・・



部屋の静けさのためか、
燭台に灯された灯火の燃える音がいつも以上に大きく聞こえる。










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