〈四季の舘〉祈り〜櫻並木の唄〜-7
「今年は妹達が少ないんだよねー」
咲子さんが千香子さんの後を継いだ。
ーあぁ、成程。
今年の『四季の舘』の方々は、確かに少ない。
秋と、冬は一年から三年と揃っているが、春は一年生が居らず、夏は二年生すら居ない。
「だから、絢華さん手伝って!!」
ぱんっと手を合わせられた。
「えっ!?」
「人が足りないの。皆さん部活動などがあるでしょう?でも、絢華さんはどこにも入っていないから、夏休みは暇でしょう?」
ね?と千香子さんに駄目出しされた。
「・・・・はい。」
何も言わせないわよぉという顔で言われたら、他に何も言えません。
「さんきゅ、絢華さん」
にかっと咲子さんが笑う。
「では、今からお姉さま方に挨拶しに行きましょう」
さあ、と千香子さんが袖を掴んだ。
逃がさないわよ、という意思表示だろうか・・。
「ー・・・今から?」
「もちろん。思い立ったら吉日というじゃない」
ー咲子さん・・。その言葉を使うのは卑怯だよ・・・・。
「「さあ、早く」」
二人の声が重なった。
ー何でこんなときに限って意気投合するんだ。この二人。
「あら?千香子、その子は誰?」
四季の舘に居たのは、千香子さんのお姉さま。つまり、紅葉姫様こと妃菖さま。
「お姉さま、この方は依咲絢華さん。夏休みの手伝いをして頂こうと思ってお連れしましたの」
あら、そうなの。と微笑む。この方もまた、七穂さまと違った美しさがある。
「よろしくね、絢華ちゃん」
す、と右手を差し出されたので、握手をした。
「ところで、お姉さま。お一人ですの?」
「ええ。まだ誰も来ていなかったのよ。あ、絢華ちゃん、お掛けなさい」
はい、と椅子を出された。
「あ、ありがとうございます」
ぎくしゃくと座る。
ー何だろう、この緊張感は・・。
「紅茶を入れましょうか?」
ふわっと紅葉姫様が聞いてきた。
「いえっ、お姉さま。私が入れますからっ」
慌てて千香子さんが立ち上がる。
「いえ、お構い無く・・・」
「そうもいかないわ。絢華ちゃんは、大切なお客様だもの」
不意に後ろから声がした。
「お姉さま」
咲子さんが話しかける。
「えっ!?」
慌てて立ち上がる。
「はじめましてっ、椿姫様っ」
がばっと頭を下げる。
「遅いわよ、椿姫」
紅葉姫様が怒ったように言う。
「ごめんなさい。・・で、この子は誰?」
紅葉姫様と同じ質問をされた。
「依咲絢華ちゃん。今日からお手伝いをしてくださるって」
あぁ、と手をぽんっと叩く。
「ヨロシクね、絢華ちゃん」
にっこりと笑い、咲子さんの隣に座った。
「お姉さま方は、少し遅くなるそうよ」
「あら、そうなの?」
「櫻姫が何で遅れているのかは分からないけど」
『櫻姫様』・・・。
私としては、今はあまり会いたくない。