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〈四季の舘〉祈り〜櫻並木の唄〜
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〈四季の舘〉祈り〜櫻並木の唄〜-8

ー失礼な態度を取っちゃったからなぁ。
「はい」
こん、と千香子さんがカップを置いていく。
「あ、ありがとう」
お礼を言い、飲む。
「・・・美味しい」
何だろう、この味。普通の紅茶と違う。ほんのりとした甘味が、心地良い。
「そう?私達はあんまり気に入ってないのだけれど。その紅茶」
「え?姫様方と違うのですか?この紅茶」
何故?
「ええ。ー・・もしかして絢華ちゃんなら気に入るかも、と思って」
ふふっ、と紅葉姫様が笑う。
「そう、・・なのですか」
じっとカップの中を見る。
ほんのりピンク色の紅茶。
「櫻姫様も、その紅茶が好きなのよ」
やんわりと、千香子さんが呟く。
「櫻姫様も・・・」
そう、なのか。
ーふふっ。何だか嬉しい。櫻姫様と共通な物がまだ在ったなんて。
「何て言うんですか?この紅茶」
紅葉姫様に尋ねてみる。
「ー・・・それはー・・、櫻姫に直接お聞きなさい」
「・・え・・・?」
かちゃっ、と扉が開いた。
「あら?もう来ていたの?」
春姫様の声。
「その子が、絢華ちゃんなの?」
春姫様と違う声。
「あら、可愛い」
もう一人、別の声。
「あっ、」
がたっと立ち上がる。
「ごきげんよう」
にっこりと春姫様が微笑む。
「ごっ、ごきげんよう、姫様方」
声が裏返ってしまった。
くすくすと春姫様の右側の方が笑う。
「そんなに緊張しなくて良いわ」
「っ、はいっ」
「座りなさい」
春姫様が促した。

左の方が紅葉姫様の隣に、右の方が椿姫様の隣に座る。
ーということは、左の方が秋姫様で、右の方が冬姫様か。

「夏姫様はどうしたんですか?」
咲子さんが尋ねる。
「夏姫は、職員室にいるわ。もうすぐ来ると思うけど?」
秋姫様が答える。
「あの、私は何を手伝えば良いんですか?」
こわごわと春姫様達に尋ねる。
「ー・・今はまず、二人を待ちましょう」


「遅れてご免なさい」
数分後、夏姫様が来た。
ー後ろの櫻姫様と一緒に。
「あら、七穂と一緒だったのね」
春姫様が話しかけた。
「・・・絢華?」
何故、と七穂さまの唇が動く。
「どういう事です?」
じっ、と春姫様を睨む。
「お掛けなさい、七穂」
さあ、と夏姫様が七穂さまを押した。
「・・・。」
無言で七穂さまが椅子に座る。


「どういう事です?」
改めて七穂さまが問うた。
「今日に限って色んな仕事を任されるし、終わってここに行こうとしたら、何故か上から水が落ちてくるし・・・・。やっと乾いたと思えば、夏姫様にえんえんと自慢話を・・・・っ」
ぐっ、と七穂さまの腕に力が入る。
「おまけに、ここに来たら絢華が居るし。・・・・今までのは全て、お姉さま達の差し金ですわね?」
「当たらずとも言えど遠からず、ね」
冬姫様が笑う。
「私と、夏姫が考えたのよ」
ふふっと春姫様が笑った。


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