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〈四季の舘〉祈り〜櫻並木の唄〜
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〈四季の舘〉祈り〜櫻並木の唄〜-6

「あら、それなら今日は一緒に歩きましょう。私も最初に歩いてみたいもの」
「えっ」
驚いて七穂さまを見る。
「嫌かしら?」
「いっ、いいえっ」
逆に嬉しい。


「私ね、同じことを考えている人が居て嬉しかったの」
櫻並木を歩きながら七穂さまが話す。
「私もですっ!!・・皆何気無く通っているけど、その、何て言うか、散った後の桜も綺麗だなーと思って・・・」
「立ち止まってしまうのよね」
七穂さまが後を引き継いでくれた。
「はいっ!!そうなんですよ。つい立ち止まってしまって」
「分かるわ・・・」
ふっ、と七穂さまが微笑む。
ー嬉しい。一つでも七穂さまと共感できたことが。


「何故妹を作らないんですか?」
季節は、夏。七穂さまと出会ってから三ヶ月程経った日の昼休み。
「なに?急に」
笑ってはぐらかされた。
「今日こそ言ってください。私に遠慮しているんですか?」
「絢華・・・」
「構いません。七穂さまが妹を持たれても、私は七穂さまが好きですから。もちろん、昼休みは妹さんとお過ごしになってください」
「絢華」
「だから、七穂さまが気に入った方を妹にしてください」
「絢華!」
七穂さまが、少しきつめに声を上げた。
「まだ、妹を持つ気はないわ。・・・何かあったの?」
「ー・・・いいえ、何も。ごめんなさい。戻りますね」
ぺこっと頭を下げ、その場を去る。


「あら、絢華ちゃん」
歩いている途中を、春姫様に呼び止められた。
「今日は、七穂と一緒じゃないの?」
「ー・・いえ、さっきまで一緒でした」
「何かあったの?」
春姫様の隣から、夏姫様が聞いてきた。
「いいえ、何もありません」
「そう?」
「はい。ありがとうございます。・・ごきげんよう」
足早にそこを離れていく。


「夏姫、どう思って?」
「あれは、七穂ちゃんをどうにかするべきだと思うわ」
私もよ、と春姫がうなずく。
 今のままでは、中途半端で他の生徒に示が付かない。
「何か、面白いことでもします?」
ふふっと春姫が笑う。
「良いですわね」
うふふふふっ、と夏姫がそれに乗る。
「では、」
妹達を集めましょう。
絢華達の知らないところで、密かに姫様達の陰謀(?)が始まった。


「ところで絢華さん。夏休みの予定はありまして?」
 終業式終了後、千香子さんに話しかけられた。
「いいえ?何も無いけど?」
ー何なのだろう。
「まあ、それは良かった咲子さん、絢華さんは何も無いみたいですわ」
「っしゃ。んじゃ、私達のお願いを聞いてくれる?」
ぽんっ、と肩に手を置き、にっこりと微笑む。
「え?」
実はね、と困ったように首をかしげる。
「二学期に入ってすぐ、男子高等部で体育祭があるの。毎年、四季の舘のメンバーが手伝いに行くのだけど」


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