私と彼が付き合うことになったきっかけ-2
あれは、1年前の夏のこと…
私は路地裏に居た。何人かの男性に囲まれていた。
「大人しくしてろよ?少しでも叫んだりすれば殺すからな」
一人の男性がそう言ってナイフを私の首もとに突きつける。あいているもう片方の手で私の両手を拘束し壁に押し付けた。
今すぐ助けを呼びたい。しかし…叫べば殺される。恐怖で何もいえなかった。
瞳からは涙が溢れ…零れ落ちそうになる。
すると男性が首元に突きつけていたナイフを私の胸元に移動させ…ナイフで服を切り裂いた。
「!…」
真っ白な下着が露出し、そこからは豊かな胸が顔を出していた。
恥ずかしさで逃げ出したかったが、手を拘束されていて身動きが取れない。
男性達はニヤニヤしながら私の身体に手を伸ばしてきた。
「い、いやっ!やだ!やめ…んっ…んん…」
必死に叫ぼうとすると口を手で塞がれた。そして再び首元にナイフを突きつけられる。
「叫ぶなって言っただろ」
「っ…」
もうどうしようもなかった。成されるがままに屈辱に耐える。
しかし、身体は正直だった。どれだけ我慢しても責められるたび、声が漏れる。
息もだんだんと荒くなってきていた。
「い…や…んっ!…あぁっ…」
「…いやって言ってるくせに感じてるじゃねぇか…」
「感じてなんか…っ!ぅんっ…」
必死に否定しても無駄だった。知らない男に触られて感じている自分が恥ずかしかった。このまま処女まで奪われてしまうのだろうか…
いやだ…それだけは絶対に嫌だった。そんなことになるくらいなら今ここで舌を噛み切って死んでやる。
そう思った瞬間、一人の男性が誰かに殴り飛ばされた。
「ぐあっ!?」
「!?」
男性達が後ろを振り向くと、そこには私のよく知る人物が居た。
少年なのに肩まである長い髪。色は茶色で少しチャラい感じだった。
「ヒーロー参上!っと…さて、真奈を離してもらおうか?」
「なんだてめぇ…王子様気取りか?」
「王子様ねぇ〜…どっちかというと、俺的には魔王のほうがすきなんだよね〜
俺に王子様はにあわねぇよ〜」
ハハハ…と苦笑しながら軽い口調で彼が言うと、男性達は苛立った様子で彼に殴りかかった。
「ふざけやがって…この野郎!」
彼は避けもせずに、殴りかかってきた男性の手を掴んだ。
「!?」
「遅いよ〜」
歌うように言うと、そのまま男性を投げ倒した。
「あ、兄貴!」
「あっ…まだやる?やるってんなら…容赦はしねぇけど?」
男性の子分らしき男にそういうと、男性達は兄貴と呼ばれた男性を連れて逃げていった。
「お、覚えてろ!」
おきまりの捨て台詞を残して。
男性達が居なくなったのを確認すると、彼は私のほうを見て「ごめん」と謝った。