THANK YOU!!-8
全てが、吹っ切れた瑞稀は清々しい表情をしていた。
「・・ありがと、拓斗。また、助けてもらっちゃったね」
「・・いや、だから、これは俺が勝手にしたことで・・」
照れて、言いよどむ拓斗にくすっと笑いかけると悪戯っ子のような笑顔で、
拓斗の顔を覗き込んだ。
「それでも!私を助けてくれたのは、変わらない。お礼を言う権利は私にあるはずだよ?
それが、今の私がしたいこと。そのことで文句言われる筋合い、無いと思うんだけどな?」
顔をのぞき込まれた拓斗が顔を赤くしたが、瑞稀の言葉に、自分の言いたい事が伝わったんだと分かり、すぐ笑った。
その笑顔を見た瑞稀も拓斗から少し離れると、笑った。
「・・帰るか。」
「うん!」
優しい笑みを浮かべて瑞稀に青い携帯電話を返すと先に歩きだした。
瑞稀は携帯電話をリュックではなく、ポケットに入れた。
先に歩いて待っている人の元へ、一秒でも早く追いつきたくて。
「八神、早く」
「・・分かってるよ!」
拗ねた口調とは裏腹に、子供のような笑顔を浮かべた瑞稀は拓斗を追いかけた。
そして、追いついた瑞稀は拓斗の隣で色々な話を振った。
拓斗も話に相槌を打ちながらも、歩くスピードを緩め、歩幅を小さくした。
オレンジ色に照らされて出来た二人の影は、ずっと伸びていった。
その影は、瑞稀たちが通った公園の中まで届いた。
先程までの、公園の闇は月に照らされて、光があちこちに差し込んでいて・・。
まるで、瑞稀の心を表しているかのようだった。