〈不治の病・其の三〉-9
『しっかり口にタオル詰めとけ。途中で叫ばれないようにな』
『へへへ…ショートパンツにニーソックスか。このチラ見えの太股がたまんないねえ……で、なんでココが絶対領域って言われるんだ?』
『知らねえよバカ。早く簀巻きにするぞ』
(じ、純一さん助けて!!助けてぇ!!!)
白いシーツに包まれたソレは、絵莉の姿が透けて見え、まるで生春巻のように美味そうに見える。
一本の白い棒にされた絵莉は、二人の男に担がれてトラックの荷台に放り込まれ、ハッチを閉められた。
そして最後に残った一人は、ポケットからタオルを取り出すと、床やドアノブを丁寧に拭き始めた。
一切の証拠を消し去るつもりなのだろう。
……程なくして、トラックは住宅地を抜けて何処かへ消えた……ほんの一時の騒動は、誰にも気取られる事も無かった………。
――――――――――――
暑い空気が澱んでいた。
3〜4メートル四方の空間はコンクリートで作り上げられていた。
高い天井には蛍光灯が一つだけ備えつけられており、ドアを隔てて聴こえてくる騒音が、轟々と鳴り続けている。
「むうッ!!…んむぅ!!」
その棒は芋虫のようにくねり、力んだ呻き声を出していた。
その力強い動きを見れば、既に身体の自由は取り戻しているようだ。
『よぉ、元気になったみたいだな』
「!!!!」
一人の男が棒の横にしゃがんで声をかけた瞬間、その棒はビクッと跳ね、そのまま停止した……震えた呼吸の音が微かに聞こえ、怯えているのが分かる。
『ココだけ太いねえ?もしかしてココがケツなのかなあ?』
「むぐ!?む〜〜ッ!!!」
『へへへ…ケツだって言ってるぞ』
棒の1番太くなっている所を撫でられると、一層強い抵抗を示して何かを喚いていた。
そのか弱い叫び声は、この部屋にいる男達の笑顔を呼び起こした。
『結構括れてますねぇ。中々良い身体じゃないですか?』
『このケツの厚みと言うか丸みがまた……イヒヒヒ……』
「む"〜〜〜ッ!!!」
グニグニと動いて転げる度に、白く透けるシーツは徐々に解けていった……脚も腕も、その自由度は増していき、のた打つ動きからバタバタとした抗いへと変化していった……狂ったような悶えは遂にシーツの呪縛から逃れる事に成功し、美味そうな生春巻の中身が、仄かに熱せられたコンクリートの床に転がり出た。