第24話 愛の共有-1
そして・・・数日後のいつもの駅、同じ時間帯に、睦美はベンチにたたずんでいた。
その様子は、想いに深けた表情で、回りの風景を見渡していた。
この日が最後と決めた時から、思い出の一つ一つを目に焼き付けていたのだ。
いつもの列車・・・・・いつも通る改札口・・・・・いつもの売店・・・・・いつも座るベンチ・・・・・そして・・・・・いつも笑顔で向かえる・・・・・慶・・・・・
すべてが思い出に変わる日が、二人に訪れてしまった。
慶と始まった時から、いずれ訪れる結末・・・ただ、早いか遅いかだけだった。
今は、その運命に黙って従うしかなかった。
この事は、まだ慶には告げてなかった。
あの思い出の場所で、打ち明ける事を決めていた。
そして、この日の睦美の装いは、外にはグレーのカシミヤのトレンチコートを羽織ってるが、その中は、初めて会った時と同じ、紺のジャケットスーツにタイトスカートだった。
慶が、初めて描いてくれた睦美の絵と、同じ姿だった。
この絵が睦美の心を動かして、ここまで辿り着いた。
最後は、すべての思い出を感じながら終わりにしたかった。
『ティロロ〜ン・・・・・ティロロ〜ン・・・・・』
そして、最後となるはずの、慶からのメール着信音が鳴った・・・・・。
二人は、いつも通りに海岸線を走っていた。
海の波は以前よりも荒くなり、冬の訪れを感じるようだった。
初めて目にした時から、二カ月が過ぎた海の風景だった。
「睦美さん・・・今日はどうしたんですか?・・・・・。僕・・・何か場違いな格好してきちゃったな・・・・・。」
慶は、自分の服装がカジュアルな装いに対して、睦美の服装が、普段と違うエレガントな装いなので尋ねた。
外にトレンチコートを重ねてる為、初めての時と同じ装いには気付いてなかった。
ちなみに、この日の慶の服装は、上は黒の艶のあるボアフード付きダウンジャケットを羽織り、下はインディゴブルーのダメージジーンズを履いていた。
慶が懸念するとおり、この日の睦美の装いには釣り合っていなかった。
「ふふ・・・慶は嫌い?・・・こういうの?・・・・・・。」
シュッ・・・・・シュッ・・・・・
睦美は、そう言いながら、挑発的な笑みを浮かべて、車内にナイロンの摩擦音を響かせながら脚を組んだ。
羽織ったトレンチコートの隙間からは、あの時と同じ、黒いパンティーストッキングに包まれた悩ましい太腿が、慶を誘うように露出した。
「別に、そんなつもりで言ったんじゃないんです・・・・・。ただ・・・いつもと違ってたから・・・・・。もちろん僕は好きですよ・・・・・。凄く素敵だし・・・睦美さんに良く似合ってますよ・・・・・。」
慶は、露出した睦美の太腿を、手持無沙汰な左手で擦りながら答えた。
「ふふ・・・本当に慶のお世辞は相変わらずね・・・・・。あまり、おばさんをからかわないで・・・・・。」
「からかってなんかいませんよ・・・本当に素敵です・・・・・。睦美さんは気品がありますから、エレガントな服装も似合いますよ・・・・・。」
慶の手つきは、徐々にと太腿の内側へと滑り込ませていった。
「本当かしら?・・・・・。でも・・・本当みたいね・・・答えが出てるわ・・・ふふ・・・・・。」
睦美は、慶のみなぎりに気付くと、ジーンズの上から擦った。
この頃になると、車内での性的なスキンシップは頻繁になっていた。
今の慶には、初めて会った時の、純朴な青年の面影は無かった。
「ところで睦美さん・・・どうして今日は、あのホテルを?・・・・・。」
「これも嫌だったかしら?・・・・・。何かさ・・・久々に見たくなったの・・・・・。あの素敵な景色をもう一度ね・・・あっ!・・・・・。」
睦美が会話をしながらも、慶の手つきは股間部へと差し掛かった。
睦美は、思わず声が出た。
「睦美さんはあの時・・・僕に彼女が出来たら、あのホテルに誘った方が良いような事を言ってましたけど・・・結局は、僕の彼女になったのは睦美さんで・・・今日、一緒に行く事になっちゃいましたね・・・ふふ・・・・・。」
慶の手つきは大胆になり、睦美の股間部に中指を置くと、パンティーストッキングのセンターシームをなぞるかのように、親指で何度も往復した。
それに同調するかのように、睦美の手つきも大胆になっていく。
「はあ・・・はあ・・・わ・・・私そんな事言ったかしら?・・・はあ・・・はあ・・・・・。でも・・・・・・私が慶の彼女だなんて・・・・・ちょっと恥ずかしいわ・・・・・。だって・・・おばさんなのよ・・・あっ・・・あっ・・・駄目・・・そこは・・・はあ・・・はあ・・・慶・・・・・。」
慶は、睦美の一点を親指で当てると、中指でまさぐりながら親指を振動させた。
睦美からは溢れ出て、会話もままならないくらい快楽を感じていたのだ。