第2章〜第3章-20
手で握ってたしかめたいと思った。願望が芽生えたのだ。腿で受けとめる感覚には限度があったから。だけど、そんな願望を意識する自分が怖くもあった。
奈美の頭にあることがひらめいた。梶谷はひょっとしたら、奈美に男性性器を意識させるために腰を動かしているのではないのか。
(こまったわ。求められたら、どうしよう? まだだめだわ。早すぎる)
「きついの、ゆるめて」
「あっ、ごめん」
腕がゆるめられ、腰を抱いていた手も肩にもどった。腿を圧迫していた性器も遠のいていった。奈美の緊張は和らげられた。
「奈美さん、奥の部屋にいこう。ベッドに腰掛けようよ。いいでしょう」
梶谷は囁いてきた。
「梶谷さん、わたし恥ずかしいの。自分がどうにかなりそうで」
「奈美さん、だいじょうぶ。いやがることはしないから。ただ抱きしめたいんだ」
梶谷は奈美の背中を柔らかく抱きしめながら、頬ずりしてきた。
「奈美さんもくちびるを吸って。そうすれば恥ずかしくなくなるからね」
梶谷はくちびるにキスしてきた。強く吸われた。奈美は自分もと思った。無我夢中で梶谷を吸った。ただ吸われているときには感じなかった感覚が芽生えた。能動的な感覚だった。
「さあ、部屋にいこう。もう恥ずかしくないでしょう」
梶谷に抱かれながら寝室に入った。ベッドに腰掛けた。
「震えている…。だいじょうぶだから」
梶谷は奈美を柔らかく抱きながら、くちびるにくちびるを重ねてきた。
吸われながら、奈美も梶谷のくちびるを吸った。キスのさなか、梶谷は奈美の胸を弄ってきた。反射的に抵抗した。恥ずかしかったからだ。ほんとうは愛撫を受けたかったのだ。
奈美の抵抗は強くなかった。くちびるもはずさなかったので、梶谷の手のひらは奈美の乳房を服の上から押さえた。搾るように握りしめて、揉んだ。
「あっっ」
乳房からからだ全体に電流が走った。
「奈美さん、ふくよかなおっぱいだ。いい感じだよ」
言葉が奈美の耳に甘く響いた。性的なものについて初めて男性から褒められた。恥ずかしさのなかに悦びが浮かんだ。嬉しい。