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偽りのデッサン
【熟女/人妻 官能小説】

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第20話 虜-1

慶からメールを貰って、三週間後の平日の昼下がり。
とあるモーテルの一室。
睦美はベッドの上に裸で横たわり、同じく裸にバスローブを羽織った慶がソファに座りながら、睦美をモデルにデッサンをしていた。
あれから二人は二度会っており、この日で三度目だった。
モーテルの方は、以前通り掛ったモーテル通りにあった。
待ち合わせ場所の駅からも近く、車通りが少ない事も重なり、会う時はこの付近のモーテルを利用するようにしていたのだ。

二人は肌を交わした後、慶がみなぎるまで、睦美をモデルにデッサンをするのが決まり事のようになっていた。
この日も、一度肌を交わしており、いつも通りの光景だった。
そのデッサンをする慶の表情は、以前のような迷いも無く正々堂々としており、睦美の方も、慶に身を委ねるかの様に余裕の笑みを浮かべて妖艶に決めていた。
これは、お互いが信頼し合い、愛し合ってるからこその証でもあった。
慶はデッサンを終えるとスケッチブックをテーブルに置き、バスローブを脱ぎながら睦美の居るベッドへと向かった。
そして、照明を暗くすると、睦美に口づけを交わして再び身体を重ねた。

しばらくして二人は裸のままで、睦美が慶の腕枕で寄り添うように、胸元まで布団を被りながら寝ていた。
睦美の方は、慶の描き上げたスケッチブックを両手で天井にかざす様に眺めていて、慶は、その睦美の髪を撫でながら顔を手繰り寄せて、満足げな表情で見ていた。
二人のその姿は誰が見ても、お互い愛し合う、深い関係の恋人同士にしか見えなかった。

「相変わらず良く描けてるわね・・・やっぱ、モデルが良いのかしら・・・うふふ・・・・・。」
「あっそうだ・・・この前アップした絵だけど、凄いコメント書いてる人がいたね・・・あれは誰なの?・・・・・。」

「ここ最近なんだけど、僕の絵に興味があるみたいで、フレンド申請も申し込まれてるんだ・・・・・。何か絵画に詳しい人みたいで、よく批判もされてるよ・・・ふふ・・・・・。」

慶は、モーテルで書いたヌード画もサイトにアップしていた。
ただ、あまりにも精巧な為に、顔半分は写さないようにしていた。
そのヌード画に対して、以前、慶の抽象画にコメントした38歳の男からコメントの書き込みがあったのだ。

「へ〜そうなんだ・・・・・。でも、慶の絵を批判するくらいだから、その人もよほど腕に自信がある人じゃない?・・・・・。」

「うん・・・そうなんだよ・・・・・。その人の絵も見たんだけど、どれも完成度が高くてね・・・・・。僕じゃあ、とても話にならないよ・・・・・。」

この頃になると、睦美は慶の事を呼び捨てで呼ぶようになっていた。
慶は、相変わらず睦美の呼び方は変わらないが、接し方は以前よりもリードするようになり、睦美も頼もしく思っていた。

「でも、せっかくだからその人の申し込みを受けてみたら?・・・・・。もしかすると、絵画関係の道に進めるかもしれないし・・・何よりも、あなたの才能がこのまま埋もれちゃうのが勿体ないわ・・・・・。まだ若いんだから、今からでも大丈夫よ・・・・・。」

睦美は、スケッチブックをベッドの上に置くと、慶の胸元に甘えるように抱きつきながら囁いた。
慶の事は、恋人としても愛しているが、絵画の才能も買っており、若さゆえに進路の身も案じていた。
これは恋人でも、母親のような年齢の睦美ならではだろう。
慶が、睦美に対して母親像を描いてしまったのも、このような一連の行動からも考えられた。

「僕は、あくまでも52歳の男だからね・・・・・。睦美さんのように逃げられても困りますからね・・・ふふ・・・・・。それよりも・・・・僕は今のままが一番幸せです・・・・・。」

慶はそう言うと、睦美の肩を抱き寄せて、頬に軽く口づけをした。
そして、睦美の顔を胸元に手繰り寄せると語りだした。


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