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誘淫画廊
【同性愛♀ 官能小説】

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誘淫画廊-3

 赤いレンガ造りの古めかしい建物は、なんとなく博物館のような場所を連想させる。大きな石を組み上げて作ったような階段を上がり、重い扉に体重をかけてを押し開けると、なんともいえない黴臭いような匂いがした。時代を感じさせる匂い。極限まで絞られた薄暗いオレンジ色の照明が濃い赤色の絨毯を照らし出す。細い廊下を進むと、右手に受付があった。

「いらっしゃいませ。どうぞごゆっくりご覧ください」

 銀縁の眼鏡をかけた美しい女性がスーツ姿で微笑んでいる。チケットを差し出すと、彼女の驚くほど白い指がそれを受け取った。パンフレットも館内の案内も何も渡されなかった。そもそも、今日はいったいどんな絵の展示会なんだろう。それすら知らずにいたことに気がついた。

「あの・・・」

「館内に展示されているものは自由にご覧いただけます。ご購入を希望される場合はお帰りの際にお声かけください」

 それだけ言うと、女性はもうわたしのことが見えなくなってしまったかのように、誰もいない正面の空間へと視線を固定した。瞬きひとつしない姿はまるで人形のよう。不思議なひと・・・。

 受付を抜けると、すぐ目の前から展示スペースは始まっていた。圧倒されるような大きな絵が、細かい細工を施された金色の額縁の中に飾られている。

 絵の中には少女がいた。

 小学生くらいだろうか。左奥に向かって両足をだらしなく広げて畳の上に寝ころぶ、全裸の少女。背景には古い扇風機と食べかけの西瓜が描かれている。まだ成長しきらない肢体は子供のものなのに、その顔に浮かぶ表情はどこか大人の女を想わせた。

 せつなげに細められた目。桜色の唇はわずかに開かれ、頬がほんのりと色づいている。汗で額にぺったりと張り付いたつややかな黒髪。左手は顔の横に添えられ、右手は広げられた足の間へと伸びている。なんだか、すごく恥ずかしいことをしているような場面にも見える。

 見てはいけないものを見てしまったようで、なんだか胸がどきどきした。

 なんだかエッチな本を人前で見せられたみたいに、顔が赤くなっていくのがわかる。あわててまわりを見渡したものの、わたしの他には誰もいない。ただ薄暗い光の中に数枚の絵が浮かんで見えるだけだった。


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