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飛んでいく鳥
【家族 その他小説】

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飛んでいく鳥-6



〜〜


−冬休みが終わり1週間ほど過ぎた、1月の半ば頃。

怠いが口癖のクラスメイト達も、部活、勉強、遊びとそれぞれ目的の為に動き始めていた。
でも僕は止まったままだ。飛鳥がもういないという事実のを受け止められない。

昼休み、思いのまま過ごす生徒を包む教室。
気持ちだ。それを飛ぶ鳥、飛鳥のごとく見下ろしてみる。

今やってるゲームの話を夢中でする男子のグループ。
ガールズトークに花を咲かせる女子のグループ。
眠そうに頬杖をつきながら漫画雑誌をぱらぱら読み流す奴。ロッカーに入り込んでみるお調子者。

この中に多分、飛鳥を知っている奴などいない。ただ2人、僕と大介を除いては。

「・・・なあ、貴大。どうした。最近元気ねえぞ」
「あんな事があって普通なら、僕は人間じゃないな」
「え・・・?」
「褒めてやってくれよ。細い体で良く頑張ったと思う」

声が震えていた。
なんとか泣かずには済んだものの、こちらまでは我慢できなかったらしい。
こんな風に悪友の姉が亡くなったのを知って、一体どんな気持ちだろう。
笑ったつもりだった。でも泣きそうなんだろうな。

「・・・痛みに耐えてよく頑張った。感動した!」

皮肉か、それは。
いいや冗談だ。そしてもう古い。だが、こいつなりの優しさだろうな。

「頑張り切れなかったんだよ」
「それは失礼。おい、今日ラーメン行くぞ。強制な。奢ってやるから」

大介は怒らなかった。
今まで黙っていたのに、全くそれを責める素振りが無かった。
うん、ありがとう。きっと顔には微塵も喜びを出せてないはずだろうけど、感謝している。

僕が家族を亡くしたのは今回で3人目になるんだな。
本当に独りぼっちになってしまった。でも、取り敢えずは悪友がいる。
僕はひねくれているから、優しい慰めなんかよりも、苛立たせてくれた方が有難い。
憤りは悲しみを忘れさせてくれる。大介はある意味希少な存在なのだ。

でも、今日くらいは不器用な優しさに甘んじるとしよう。
味噌を溶かしたスープにチャーシューを乗せた黄色い縮れ麺に、餃子とライスの心意気をプラスしてもらって。
替え玉は、やめておこう。程々がいい。さすがの悪友も嫌がる。それでこその大介だけれど。
僕に残った物は、取り敢えず、今のところは−


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