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偽りのデッサン
【熟女/人妻 官能小説】

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第7話 満たされぬ営み-1

その日の晩、寝室のダブルベッドで、二人の男女が裸で身体を重ねていた。
もちろん一人は睦美で、仰向けになり男を受け入れていた。
そして男は、睦美の上で頂点を迎えようと、ベッドに両手を付きながら激しくなっていた。
それを迎え入れようとする睦美の表情は、どこか満足気では無く虚ろだった。

「はあ!・・・はあ!・・・・・。」

男は、二度ほど息を荒くすると、振り絞るように往復させながら、睦美の中で果てた。
そして、余韻に浸る事も無く睦美から抜くと、被せている物を外して処理をした。
それから言葉を交わす事なく、そっぽを向いて布団を被ると、男は裸のまま眠りについた。
睦美は、その男の背中に視線を向けると、満たされてない寂しさが込み上げてくるのだった。
その男とは睦美の夫で、名は政俊と言う。
歳は睦美より5つ年上の55歳で、それは薄くなってきた頭髪や、顔に刻まれたシワの数から伺われた。
体型の方は中肉で、睦美より頭一つ高い背丈だが、押し寄せる老いには叶わず、下腹が醜く膨れ上がっていた。
顔は、目が大きく鼻も高くて端正な部分もあるのだが、疲れきったような顔付きがどこか冴えなかった。
それでも、若い頃は、高い背丈も合い重なって異性を魅了するような存在で魅力的だった。
職業は、大手百貨店に勤務しており、今では支店長を任されていた。
若い頃から仕事に卓越しており、睦美と出会った30歳を過ぎた頃には、販売事業部の主任を務めていた。
睦美は、政俊の人柄にも惹かれたのだが、その安定した職業と魅力的な容姿にも心を奪われて、一緒になる事を決意した。
ただ、今となっては、その頃の気持ちは薄れ、政俊に対する不満ばかりが募っていた。
政俊が、睦美を主婦に専念させ、息子を大学まで進学させるあたりは、一家の大黒柱として尊敬出来たが、歳を重ねる度に冷めた態度に拍車が掛かるのが我慢できずにいた。
特に、3年ほど前から、郊外の方にショッピングセンターが建つと百貨店の売り上げも落ち込み、それが政俊へのプレッシャーとなりストレスを抱え込むようになっていた。
さらに、溺愛していた翔太が家を出る頃には、睦美と言葉を交わす事はほとんど無くなり、冷めた関係になった。
それでも、生理的に睦美を求めて来るのだが、ただ自分の欲求を満たすだけで、睦美を悦ばすような事は、ほとんど無くなった。
出会った頃は、時間を掛けながらは導くように睦美を悦ばせてくれたのだが、今ではベッドの上で、政俊の欲求を処理する為だけの人形のようで寂しかった。
いつも終わると二人は裸で寝る為、寒い時期の今頃になると、部屋の温度設定を高めにしていた。
寝室に入り温度が暑く感じると、その日は身体を重ねる合図のようで、若い頃は胸が高鳴っていたが、今となってはただ気が重いだけだった。
もちろん、この日も同じだった。

睦美は、隣で眠りに入る政俊を尻目に、考え込むように天井を見上げて一点を見つめていた。
やはり、このまま女としての悦びを忘れながら終わるのが不安だった。
一度は切り開こうとした道だが、今は断絶して絶望感だけが睦美の心を支配していた。
もう一度と思うのだが、どこか気持ちが乗らなかった。
それにはやはり、慶の存在があった。
もう思い出してはいけないと心に思うのだが、どこか未練があった。
今はまだ、自分の手の平に居る汚れを知らない若い身体・・・・・そう思うと、睦美は次を踏み出せないでいた。
その間にも、他の異性にでも取られるような気持ちになり、嫉妬心が込み上げて来るようだった。
求めていけないのは分かっているのだが、あの官能的な絵を見ると自分が求められてるようで胸が高鳴ってくるのだ。


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