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セフレごっこ。
【女性向け 官能小説】

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朱里_セフレごっこ。-3

「きゃあ、だって。かーわい。」

『……ホントあんたって腹立つ…』



私を小ばかにする言い草。くそ、重心と足場がこんなにズレていなければ、いますぐ両腕を放して頬を思いきりつねってやるのに。

指が膣に挿入されたまま引きずられるようにベッドへ運ばれていると、寝室の壁掛け時計が視界に入った。あの人が来る約束の時間、10分前…

―――だめだ、こんなのやっぱりヤバすぎる。あの人は、いつも待ち合わせに少しだけ遅れる。ほんの数分、大人のマナーな時間だけ。でもそれを見積もったってバッティングは確実だ。



『ま、待って太一、やっぱ無理。』



あの人とは、大学時代の友だちの紹介で出会った。

背が高い訳でもなければ顔が良い訳でもないし、オシャレって訳でもない。でも悪いって程でもない。経歴も、突飛した部分はなく至って普通。というより無難。

つまらない男だと思う。平凡で、優しいだけがとり得みたいな人。

だけどそれが彼の魅力だと私は思う。無難なスペックが私に安心感をもたらしてくれるのだ。この人ならばドラマな展開はなくともトラブルもなく、それなりのつき合いができるだろう。そのまま結婚なんかしちゃったりしても、大きな喜びはなくともそれなりの生活を送れる気がする。

…もう、一時の感情に流されて傷つくのは勘弁だ。感情でなく、理屈であの人が欲しい。



なのに目の前にいる見目麗しいこの男は、心と刺激を訴えて私に覆い被さってくる。



「朱里…―――アイツならここには来ないよ。」

『―――……へ…?』







“友達に戻ろう”のメールがケータイと俺の心を揺らす数日前、俺は朱里とアイツが並んで歩く姿を見かけた。

(…え?は?なんで朱里がアイツと?)

意味がわからなかった。なぜならアイツってのは知り合いも知り合い、俺の従兄弟だから。二人に俺以外の共通点なんてどこにあったんだ?二人の道が交差することがあるなんて当然だけど考えたこともなかった。動揺しているのに、目が離せない。

普段はあり得ないくらい笑顔を見せない朱里が、笑顔を従兄弟に向けていた。つくり笑いだなんてすぐにわかった。朱里は素で笑うと、もっとこう…ガサツだから。

それはそれで俺にしか見せない一面として優越感に浸れる内容ではあるけど…俺は朱里に、そんな頑張ってもらったことなんてない。そんな風に取り繕ってもらっている従兄弟に妬けた。

俺がどんだけ目で追っても、朱里が俺に気づくことはなかった。





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