投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

氷の解けた日
【SF 官能小説】

氷の解けた日の最初へ 氷の解けた日 38 氷の解けた日 40 氷の解けた日の最後へ

アシュラの最期-2

仮想空間の武器が何故現実の空間に出現するのか?その答えは今私がアシュラとしてここにいるからとしか言いようがない。
そして同様の理由で左手にカッディアンを持った。
私はジャンプすると、彼らの頭上を跳び越しざまに2つの武器で頭部を打ちすえた。
私が着地した、その背後で2体の大型ロボットは音を立てて地面に倒れた。

 正面玄関に入ると、ホールの中央に女が二人電気鞭を手に持って立っていた。
二人とも黒い皮のタンクトップとズボンを履いて、1人は左の2の腕に蛇のタトゥーを、もう1人は右の頬に薔薇のタトゥーをしていた。

 電気鞭は触れると高圧電流が体に流れ皮膚が焼け爛れる。
スタンガンよりも強力だ。
触れただけで普通の人間ならショック死してしまうほど危険な武器だ。

 私は鞭を避けたが何度も掠って体に火傷を負った。仕方なしに体を絶縁状態にプログラムして体組成を変えた。
そして二人の鞭を両手に掴むと引っこ抜いて引きちぎった。
女達は慌てて逃げて行った。
 エレベーターは使えないと思ったので私は階段を上ることにした。
最上階は52階だ。
一跳びで踊り場まで行くとさらにもう一跳びで2階のフロアについた。
そうやって連続してジャンプしながら私は猛スピードで上っていった。
5階のフロアに着いた時、レーザー銃で一斉射撃された。私は止まらずにジャンプした。このときかなりやられたみたいだ。
体から血が零れ落ちている。私は血が零れないように傷口の体組織を固めた。
一時しのぎだ。生命点の減少が加速してきている。
1秒間に10から20ポイントずつ減っているのだ。

 そしてとうとう52階のフロアにたどり着いた。
そこには大型銃を構えた男達が立ちふさがっていた。

 その背後のドアの向こうにはファーザー・コユナというスーパー・コンピューターがあるのだ。

 私はジグザグに走って突進した。
旧式の火薬銃が火を吹いた。
何発も被弾した。
私達は男達をはね飛ばした。
3人の男が私の3本の腕につき飛ばされ10m背後のドアにぶつかった。
だがドアは頑丈らしい。
私は背後から射撃を浴びながらドアにウルムヤンデをぶつけた。
ドアが壊れて飛んだ。

 目の前にファーザー・コユナの巨大な姿があった。
私は背中や後頭部に銃弾を浴びながら一歩前に進もうとした。
だが、強力な電気バリアに阻まれ、体が弾き飛ばされた。
私は這いずって右手にチップを持ってそれを差し伸べようとして前に倒れた。
生命点はあと僅かだ。
もう5分も持たないだろう。
だが、力が尽きかけていた。
背後から男達が近づいて来る。
そして誰かが私にとどめをさそうとした。
だが仲間が止めた。

「やめろ。跳弾がファーザー・コユナに当たる」

 そのときコンピューターから声が聞こえた。

『アシュラの持っているチップは何かのプログラムだ。
ウィルスの可能性が大きい。
私にはそれに対する検索と防御機能がある。
それを端末に差し込むように』

 男の一人が私の右手からチップを奪い、コンピューターの端末に差し込んだ。

ファーザー・ユコナの分析はすぐ終わった。

『内容はウィルスではない。
電子ドリンクとケーキなどの電子食料、そして風俗関係だ。

組織の者は全員私の所に集合するように。
これから多分宴会になるかもしれない。
試食と試飲、及び電子セックスの品質検査を行う。
商品化に結びつけば今回の損失を埋めることができるかもしれない。』

 その声を聞きながら私の意識は遠くなって行く。そして生命点が0になった。
  


氷の解けた日の最初へ 氷の解けた日 38 氷の解けた日 40 氷の解けた日の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前