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雨のち三角
【幼馴染 官能小説】

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雨のち三角-6

 今思えば、僕は人前で泣くなどという不覚をとったのは、後にも先にもあれ一度だけだ。
 そんな過去を振り返っていると、マコが唐突に言った。

「ねぇ、ケンちゃん、もうさ、アレ、経験してんだよね?」
「え?……アレって?」
「もう、とぼけないでよ。あたしの口から言わせる気なの?」
「その事なら、もうずっと前に話したとおりだよ」

 マコの顔が、途端に曇った。
 親指の爪をガリガリ噛んで、眉間に少しシワがよっている。
 その視線は、僕ではないどこか遠くを睨んでいるように見えた。
 マコは3人の中では、実は一番気が短かった。何かあると、爪を噛み出す癖がある。
 こうなると、僕もタクヤも彼女に近寄れない。うっかり触ると、噛み付かれそうになる。
 誰より優しくて可愛くて、怖い存在だった。

「なんか、思い出したら、また腹がたってきた」
「僕のことなんか、思い出さないでいいよ、もう3年前の話なのに。それに、何でリコが怒るのさ? 関係無いことでしょ?」
「だって、ケンちゃん、あたし達から盗って……その上、泣かせたりして」
「もう、恥ずかしいな、あれは僕が悪かったんだよ……それに、マコには、タクヤがいるじゃない?」
「あのさ、ケンちゃんって、あたしのことさ、どうでもいいわけ?」
「どうでもいいわけ無いよ。マコは大切な」
「親友?」

 マコは、また爪を噛んで、機嫌の悪いネコのような瞳で僕に強い眼差しを向けた。
 彼女もタクヤと同じく酒に弱いのだろうか。怒りっぽくなるタイプなのか。

「ケンちゃん、ちょっと、こっちきて」
「え、なんで? マコ、どうしちゃったの? 酔ってる?」
「酔ってない。いいから。ここの前で、座って」

 傍らではまだタクヤが眠っている。完全に熟睡状態だ。
 マコがソファーの上で体操座りしている。相変わらず、顔を少し赤らめていた。
 そのマコの前に、僕は座り直した。
 正面に見える真っ白い内ももが、僕に眩しく見えて、タクヤに少し申し訳ない気がした。

「ケンちゃんも、タクヤも、本当はあたしの事なんてどうでもいいんでしょ」
「そんな訳ないのは、マコが一番良く知ってるよね?」
「クールだよね、いっつも落ち着いてて、淡々としてて。何か、少しムカつく」
「僕は、ただ正直に答えているだけだよ」
「ねぇ、その子と、何回くらい、やった?」
「……そんなの、わかんないよ」
「わかんないくらい、したんだ」
「マコだって、そんなの、わかんないだろ」
「わかるよ。最近、タクヤあんなだから、週に1度もないもの」
「そんな事、わざわざ言わなくて、いいよ」
「すこし、嫉妬してくれた? それとも、僕には関係ない?」
「……」
「ねぇ、あたしって、そんなに魅力ないかな?」
「そんな事、ないよ、マコは誰の目から見ても綺麗だと思うよ」

 答えるや、マコは体操座りしていた腕を離し、自慢の美脚を横に開いて見せた。
 超ショートパンツである。M字開脚。股間が薄い布一枚で、きわどく隠されている。
 僕は、そのギリギリの中心部に、思わず目をやらずにはいられなかった。
 マコは顔をさらに真っ赤にして、恥ずかしいのか横を向いて言った。

「あたしのここ、見てみたくなる?」
「マコ、タクヤの前でそんな」
「タクヤを愛してるわ、でも、あたしはあなたも愛してるの。それってダメなの?」
「……そんな」
「だから、あたしは、ケンちゃんのためなら、なんでも出来るよ」


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