初めてのライヴ-7
翌日模試を受けていても、やはり気になってしかたなかった。模試の最後の科目が得意な英語だったので、解答欄を埋めて時間より早く教室から出た。間に合わないのはわかっていたが、じっと座っていられなかった。学校の校門を出た時
「美咲!こっち!」
声をかけられた。見ると姉が車の後部座席で私を手招きしていた。
「お姉ちゃん!こんな所で何しているの?」
姉の所に駆け寄って話しかけた。
「何してるの!早く乗りなさい!」
私は姉に促されるまま、姉の横に乗り込んだ。
「美咲ちゃん早かったね!」
助手席から声をかけられた。見ると香奈さんがこっちを見ていた。
「時間の途中で抜けて来たから....」
私が答えると
「そんな事して大丈夫なの?」
敦さんが運転しながら聞いてきた。
「えっ?どうして敦さんが?」
「香奈に無理矢理かり出された!」
「ちょっと!敦!変な事言わないでよ!」
香奈さんは敦さんの肩を軽く叩いた。
「香奈さん...声....戻ったんだ!」
「うん...でも....昨日の美咲ちゃんの歌を聞いた後じゃ.....」
「そんな事ないですよ....」
「あんたはもっと自信を持ちなさい!」
姉に諭された。
「でも....」
「美里ちゃんの言う通りだよ!俺....美咲ちゃんの歌好きだよ!!」
「だから頼みもしないのに車を出してくれたの?」
「そうだよ!香奈には悪いけど....俺も美咲ちゃんの歌聞きだいからね!」
「香奈さん...本当にいいんですか?」
「もちろん!美咲ちゃんギターも弾けたよね!」
「ハイ!」
「ギターもって?」
「美咲ちゃんはピアノとギターを弾けるのよ....でもウチには美里がいるから....で....敦のギターを貸してね!」
「ああ...陽太に持って来るようにメールを打ってくれ」
敦さんは香奈さんに携帯を渡した。香奈さんは陽太さんにメールを打った。私も麻里と葵ちゃんにステージに立てる事になった事をメールで知らせた。
ライブハウスに着くと、既に陽太さんがギターを持って来ていた。
「ハイ!あっちゃん!」
「あっ..ありがと...でも今日はこっち!ハイッ!」
敦さんは陽太さんから受け取ったギターを私に手渡した。
私はギターを受け取ってライブハウスへと走り出そうとした。
「待ちなさい!あんた高校の制服で歌うつもり?着替え忘れてるよ!」
姉は私に着替えを渡してくれた。
「ありがとう!お姉ちゃん!」
「ギター貸して!セットしておくから!ステージで待ってるよ!!」
「うん!!」
私はライブハウスへ....ううん私の夢へと走り出した。
「お待たせ!」
私がステージに上がると
「美咲ちゃん!待ってたよ!」
敦さんの声がした。
「ありがとうございます!私達に投票して下さって....本当にありがとうございます!今日は楽しんで下さい!」
思わず私が答えると
「美咲!!あんたいつからMCの担当になったの!」
姉の声がした。
「ゴメンナサイ.....つい.....」
先月の高校での公演のが抜けなくて答えてしまった。
「美咲ちゃん気にしなくてもいいよ!!美咲ちゃんは私達トワイライト・ブルーの顔だからね!」
歩美さんが言ってくれた。
「ハイッ!」
私は前を向いて
「みんないくよ!!」
私の合図で始まった。