佳奈-1
第三部 甘恋
息苦しい二学期初頭、ジュンはうなされながらベットから起き上がった。
「また、同じ夢……」
ここ最近、ジュンは同じような夢を見続けている。ジュンにとっては悪夢に近い夢だ。
槙野 真琴、夢の中で現れる彼女に、ジュンは酷くうなされる。自分の愚かな行為が、自分の情けない行為が、鏡で見ているように夢で現れる。
ジュンは汗でビッショリと濡れた寝間着を脱ぎ捨て、洗面台に向かった。
歯を磨いていると、また真琴のことが頭を過ぎる。
「うっ!」
頭を左右に振り、過ぎる真琴をかっきるが、彼女の幻影はジュンにこびり付く。
ジュンの歯ブラシは加速した。
消えろ、消えろ!ジュンの心が叫ぶが、消えない幻影が、消えない傷が、ジュンを襲う。