プロローグ-1
プロローグ
ジュンは徐に自分のズボンのチャックを開け、それを出した。
それは赤くそびえ立ち、気持ち悪い生き物に見える。エイリアンっぽくも見える。これ、私の中に入れるんだよね。
ジュンは腰で突くように私に迫る。
「先輩」
ジュンのその迫り方が、その求め方が怖く感じる。イヤだ、怖い。ジュンが怖い……
迫るジュンの顔は赤く火照っていて可愛く思える。でも、目が怖い、大きく見開くその目が怖い…ああ、私、処女じゃなくなるんだ。ジワジワと恐怖が胸に広がる。恐怖心とは裏腹に、ジュンは容赦なく迫る。私の秘部にそれが近づく。
じっと私を見詰めるジュンに、私は見詰め返すことが出来なかった。私はその視線から逃れようと、バス停小屋の外を見、目線を逸す。そこで私は気付いた。
雨、止んでる。雨が止んでる!
バス停小屋をカーテンのように包んでくれた雨が止み、外から丸見えだ。どうしよう、恥かしい……
ジュンの恐怖と、恥かしさが、私を襲う。どうしようもなくここから逃げ出したい気持ちに駆られる。
逃げたい。この状況を作ったのは私で、勢いでここまで来たけど、ダメだ怖い……
私は無意識にジュンのそれを手で掴んだ。
何やってるの、私。
ジュンの動きは止まり、戸惑う表情を見せる。私は彼に囁いた。
「雨、止んだみたいね」
「え」
何やってるんだろ、でも、もうダメだ。逃げよう。
「ジュンくん、残念だけど、童貞の卒業、お預けね」
「……!」
固まるジュン
「私、学校に忘れ物してたから行くね」
私はジュンに目も合わせず、乱れた服を着直し、バス停を出た。
バス停を出る際、私はジュンに捨て台詞のようなものを言った。
「今度、目屋村を案内してね、ジュンちゃん」
この言葉が私のジュンに対する今できる最大限の愛情表現だった。
私はその場を逃げるように立ち去り、嫌いな学校へと向かった。