THANK YOU!!-4
― 自分なんか、長く会話できないのに。
そう思っていた。
瑞稀は性格上、すぐには心を開かないが、少し気を許せる仲間が居ると簡単に寄りかかってしまう。
だが、そう感じている菜美も同じような性格だった。
だから、気に入らないのかもしれない。
同じ人を、気の許せる人としてしまったから。
はっきり言うと、菜美は拓斗にたいして淡い恋心を抱いている。
もちろん、それは純粋な物だ。
だが、純粋が故に一つ道を間違えると、狂気に変わってしまいそうだった。
そんな心のくすぶりに、気付かない振りをした菜美は真面目に授業を聞いている瑞稀を一瞥すると、自分も、授業へ耳を傾けた。
そんな隣の席の人間に目を向けた拓斗は冷たい表情をしていた。