THANK YOU!!-2
今日の一時限目は、クラスでの係の決め事だった。
そのあとは委員会决めだった。
「瑞稀。瑞稀は、何の委員会をするの?」
前置きの話を聞かずに、いつもどおり窓の外を眺めていると、秋乃から声がかかった。
どうやら、前置きの話は終わったようだ。
瑞稀は黒板に書かれた係を見たあと、秋乃に向き直った。
「うーん、余ったのでいいや。秋乃は?何かやりたいのある?」
「ウチも特には・・・。あぁ、でも、あれやりたいかな。栽培。」
「そなの?じゃあ、言ってみなよ!多分OKだと思うよ!」
「瑞稀も一緒にやらない?」
「いいよ!ちょっと興味あったし」
そういうと、瑞稀と秋乃は同時に手を上げて栽培委員に立候補した。
すると、先生が、
「・・八神さん、話聞いてた?八神さん、運動委員の委員長だからほかの委員会出来ないんだよ?」
「・・え!?」
全く初耳。
前置きの話の時に話したようだが、聞いてなかった瑞稀は知らない事実だった。
しかも、いつのまに委員長になってたんだと不思議に思っていると、
先生が笑って、
「しっかりやってたみたいだし、下級生からの慕われ方が凄かったからね」
と言った。
確かに、下級生から懐かれていたが・・・。
「・・・・マジか」
「瑞稀、凄いじゃん。頑張ってね、委員長」
「秋乃、ゴメンな。一緒にやれなくて・・」
手を合わせて謝る瑞稀。秋乃は小さく笑った。
「いいよ。気にしてないし・・クラスの係は一緒だから、大丈夫」
「ありがとー!」
瑞稀は笑顔でお礼を言う。
委員長にされていた事は不本意だが、運動委員の仕事は結構気に入っていたので特に文句は無かった。
瑞稀が黒板を見ると、そこには集会委員の所に菜美の名前があった。
どうやら、菜美も集会委員の委員長になっていたようだ。
瑞稀は以前より菜美のことが苦手になっていた。
5年の時もちょくちょくあったが、拓斗と話しているときに必ず視線を感じるのだ。
今日も、朝教室に着いてから秋乃と3人で喋っていたが、強い視線を感じた。
5年よりも、強く感じられる視線だった。
何でこんなに見られなければならないのか分からない瑞稀はただ無視し通すしかなかった。
そのため、今回も委員会が別という事に少し安堵していた。
「(そういえば・・鈴乃はどこに入ったんだろう)」
そう思い、黒板を端から端まで見ていくと、最後の列・・。
放送委員のところに拓斗の名前があった。
「(へぇ!鈴乃、放送なんだ!)」
少し、意外に感じた瑞稀は次の休み時間に、放送委員に入った経緯を聞くことにした。