コロと教育係-5
再び唇が重なる。今度は触れるだけではなく、情熱的なキス。抱きしめられて呼吸もできないほど長く激しいキスに胸をたたいて抵抗する。
「あ、ミルク冷めちゃいますよ」
唇が離れると飄々とそう言ってのける。
「もう、誰のせいよ?」
「オレのせい、ですよねー」
いつものおちゃらけた西島に、いつも通り無言のツッコミ。なんだかホッとする。あぁ、このミルクも西島っぽい。
「これ飲んだら、ちゃんと寝てくださいね。身体疲れてるでしょうし。まだ本調子じゃないんですし」
「わかった」
「…オレ、隣で寝ていいですか?」
「え?西島は向こうにいるんじゃなかったの?」
「…そ、そうします…」
「ウソよ。一緒にいて」
「喜んで。あ、でも…」
「なに?」
耳元で西島が囁く。回答はもちろん肘鉄。
「じょ、冗談ですよぉ。病人に襲いかかるほど節操なしじゃないです」
「誰よ?その病人を酸欠で目眩おこさせるようなキスしたヤツ」
「お、オレです。夢中で、つい…榊さんの唇、気持ちよくって、嬉しくってつい…」
ほらまた。怒られたときのコロと同じ顔してる。思わず笑っちゃう。
「西島ってほんとに犬みたい」
「可愛がってくれますか?」
「しょうがないから可愛がってあげる。もう横になってもいい?」
なんだかやっぱり身体がだるい気がして、おまけに久しぶりに睡魔がやってきてくれたみたい。
「もちろん。お供してもいいですか?」
「しょうがないから許す。っていうか、一緒にいてって言ったでしょ?西島が隣に居てくれたらちゃんと眠れる気がする」
そう言った私を、西島は満面の笑みで抱きしめる。可愛いヤツ。ベッドに一緒に入ると腕を伸ばし、反対側の手でポンポンと空いたスペースをたたいて私を誘導する。腕枕なんて久しぶりでなんだかミョーに緊張するけれど、布団の中で抱きしめられるとむしろミョーに落ち着く。
「西島?」
「どうしました?」
「ありがと、ね」
「いえいえ、こちらこそ」
「おやすみ」
自分から西島の唇を奪う。恥ずかしくなって西島の肩に顔を埋める。
「おやすみなさい」
笑いを堪えられない西島に抱きしめられたまま、私は久しぶりに深い眠りについた。