白い世界-4
「デレクの兄ちゃんよぉ〜俺ら冒険者が何でこの作戦に参加してっか解るか?」
別にファンの住民でも無いし、命を賭ける義理もない……なのに何故わざわざ命を危険に晒すのか。
「簡単に言うと、出来るから」
笑いながら言う冒険者の答えにデレクシスはキョトンとした。
「こういう切羽詰まった状況では義務とか立場とか関係ねぇんだよ、自分がやれる事をやる!これに限る!キャラ姐さんもアースの兄貴も出来るからやってるだけだぜ?」
ガハハハと笑いながら冒険者はデレクシスの肩を叩く。
「ぶっちゃけあんたが死んでも誰も助からないしな!!」
役立たず……という事か?……デレクシスは微妙に落ち込んだ。
「では……私に何が出来ると言うのか?」
デレクシスは上目遣いで冒険者に聞く。
「おぉ、平民に意見を求めるたぁ進歩じゃねぇか……そっだなぁ、ザックが居るならあんたにしか出来ねぇ事があるんじゃね?」
デレクシスは肩にとまっているザックと視線を合わせた。
「……ザック、手伝ってくれるかい?」
『クェ』
いつもならつっつくザックが嬉しそうに翼を広げる。
契約してから初めて意思の疎通が出来た。
精霊だとか、身分だとか関係無い……ようはお互いに向き合う気持ち……やっと解った。
「キアルリア姫に言ってくる」
「おう、やれる事やりな」
立ち上がったデレクシスは、手を挙げて見送る冒険者と初めてちゃんと顔を合わせた。
「まだ名前を聞いていなかった」
「俺か?バリーだ」
「バリー、生きてまた会えたら頼みたい事があるんだが……」
「内容によるな」
ニマッと笑うバリーにデレクシスは少し困った顔をする。
「内容はまだ決めてないんだ」
「ハハッ、じゃ次会う時までに考えといてくれ」
さっさと行け、と顎を動かしたバリーに手を振ったデレクシスはキャラ達が足を向けた方へと走った。
「キアルリア姫!」
「あ゛?」
不機嫌丸出しの声で返事をしたキャラに、少しびびりながらもデレクシスは話す。