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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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白い世界-5

「私のやれる事を考えてみた。さっきの……ザギがイレーヌって言っていただろう?もし、イレーヌが召喚師だとしたらオーウェン殿なら知ってるんじゃないだろうか?」

 召喚師は500年前に滅びた技術だ、それほど長生きしているのはオーウェンしか居ないし、そもそもオーウェンにもマスターが居たはずだ。
 召喚師は数も少なかったとベルリアが教えてくれたので、もしかしたらオーウェンには何か解るかもしれない。

「で、オーウェン殿に知らせに戻るのは私が最適なんじゃないかと思うんだが……」

 戦力外だし、ザックに乗れば3時間程度で城に着くはずだ。

「成る程……オーウェンか……」

 アースはオーウェンが何か知ってる可能性が高い、と判断してキャラに頷く。

「頼めますか?」

 態度を礼儀正しく戻したキャラにデレクシスは思わず吹き出した。

「今更敬語使わなくていいよ」

「いや……まぁ……」

 キャラは決まり悪そうに目を反らす。

「じゃあ直ぐに出発する」

 デレクシスはザックを大きくするとその背中に飛び乗った。

「あ、待って」

 キャラはザックの首に抱きついて魔力を限界まで分けてやる。

「デレクシス」

「え?」

 アースが下から見上げて片手で拳を突きつけた。

「いい顔だな」

 ニヤリと笑ったアースにデレクシスは少し照れたように笑い返すと、アースの拳に自分の拳を合わせる。

『クェッ!!』

 魔力満タンになったザックは、一声鳴くと翼を大きく広げて空に飛び立って行った。

「ねぇ……あんたアイツに甘くねぇ?」

 小さくなるザックを見送りながら、キャラはアースに言う。

「そうか?」

 いつもなら平民云々の時点でブチ切れてそうだ。

「うーん…なんつうか……お前と似てるなぁって……」

「はあ?!」

 冗談でもやめてくれ、とキャラは物凄く嫌な顔になる。

「いや、『王族』だからなんかも知んねぇけど……自分を犠牲にしやすい所が?」

 ただ、残念ながらデレクシスはかなりの温室育ちで、想いに実力がついていけずに空回り。
 そして、プライドが邪魔して孤立。
 わかりやすいだけに見ていて痛々しい……とアースは語る。


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