君のいる景色 -17
「デレクとザックが上手くいかないんだよ」
ベルリアが見るに、ザックがデレクシスに何か言いたい事があるようだ。
「へぇ、デレクシス王子は精霊つきだったんだ」
アースは初めて目にする派手な容貌のザックにヒラヒラと手を振る。
「あ、そうだ。キャラ、昨日街で会ったケイ……覚えてっか?」
「覚えてるけど……昨日だっけ?」
なんだか随分前のような気がする。
「昨日のはずだ。そのケイにも精霊がついてた。魔力分けてやってくれ」
アースが親指で指した所に白いイルカを肩に乗せたケイがいた。
「あいつらが見つけてくれたんだ。知らせに行ったダリルはケイの親父さん。おい、ケイ!」
「おう……っと、姫様」
アースに呼ばれて返事をしたケイはキャラに気づいてピシッと固まる。
「アースを助けてくれてありがとう」
キャラはケイに笑顔でお礼を言うとその頬に軽くキスをした。
「うえぇっそんなっ」
キスを受けたケイはわたわたと慌てて顔を真っ赤にした。
「おいおい、お前まで俺の女に手をだすのか?」
「俺が出したワケじゃっ……」
アースの声にケイは言い訳をしながら、キスされた頬を撫でて暫く洗わないでおこう、と密かに思う。
「えっと……この子の名前は?」
「あ、クインです」
「クイン、お前もありがとうな」
キャラはクインに魔力を分けようとして止まった。
「え〜っと、皆離れてたがいいかも……」
巨大化の可能性を思いだしたキャラは周りに居た人々に忠告する。
全員がざわざわと退いたのを確認したキャラは、クインを抱いて魔力を分けた。
クインの体がぽうっと光り、ズンッと大きくなる。
しかし、クインはそこまで大きくならず、全長2メートル弱ぐらい。
「うわぁ、スゲー」
それでもケイは両手を握りしめて、目をキラキラさせる。
「小さいのと大きいのとサイズは自由だから、今は小さくなっといてね?」
キャラが首を傾げてクインに頼むとクインは素直に小さくなった。
「クイン〜凄いなぁ〜お前に乗って海に行けるじゃん♪」
ケイはクインを抱き締めるとスリスリと頬擦りする。