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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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君のいる景色 -18

「さてと……デレク王子とザックか……」

 キャラが呟くとデレクシスは不機嫌そうに視線を反らした。

「まず、意識の共有が上手くいかないんだよねぇ〜」

 エンは頭を掻きながら状況を伝える。

「…………」

 ブスッとしたデレクシスにアースは思いあたる事があり、彼の肩をトントン叩いた。

「デレクシス王子、一般人からものを教わるのに抵抗があるのは解りますが……」

「はあ?そんな理由ぅ?!」

 どんなに丁寧に教えても上手くいかないので、自分の教え方が悪いんじゃないかと思い始めていた。
 一応、ゼビアでは魔法学校の臨時講師もしているので自信を無くす所だった。
 身分がどうのと言われたらエンにはどうする事も出来ない。
 ちなみにベルリアは魔導師であり、有名なゼビア魔法学校の元学長という地位もあるので彼の言う事はデレクシスも素直に聞く。

「くっだらねぇ……そんなだからザックも嫌がってんだよ」

『クェ』

 キャラは吐き捨てるように言って、ザックがそれに同意して鳴いた。

「……キアルリア姫は平気なのかい?」

 平民に教えを請うのが、と聞くデレクシスにキャラは思わず呆れてしまう。

「よくもまぁ平民だらけのこの場でそんな事口に出せるなぁ」

 いっそのこと清々しいくらいで、その場に居た平民達は全員苦笑いした。

「あんた、チャラ男かと思ったら結構古臭い考え方すんだな……どうせザックの事もペットぐらいに思ってんだろ?」

 話に割り込んだ冒険者をデレクシスは軽く睨む。
 こりゃ何を言ってもダメだ、と冒険者は肩をすくめて引き下がった。

「ザック、こんな奴だって知ってて契約したんだろ?この戦いが終わるまではちゃんと面倒みて。デレク王子も無理矢理ついて来てんだから迷惑はかけないで下さい」

 キャラはそれだけ言うと自分はファンの兵士達の所へ行く。

「何も知らない事は恥じゃないよ?むしろこれから何でも吸収出来る。よく考えてみなさい」

 ベルリアはデレクシスだけに聞こえるように伝え、後は何事もなかったかのように魔法についての勉強を再開した。
 アースはそんなデレクシスを見て先行き不安だなぁ、とため息をついて夜空を見上げる。

 夜空には輝く星……後2日もすれば魔物が攻めてくるとは思えない程の綺麗な星空。
 アースの目には更に精霊達が追加されて綺麗さ倍増だ。

 アースの視線に気づいたキャラが同じように空を見上げる。
 2人の視線を追って周りの兵士や冒険者……全員が夜空を仰いだ。

(……守りたい……)

 この景色を……愛するものを形創るこの世界を……。


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