<殺戮病院>-1
「うっうん」
少年が目を覚ますとそこは白で統一された部屋だった
「ここは?」
少年が起き上がろうとすると、ベットに鎖で縛られていた
「どうして?」
少年はなにが起こったのか考えた
(確か安穏会長と一緒に学校から帰っていて)
「栖羅はこの後どうするの?」
「家に帰って宿題ですが、どうしてですか?安穏会長」
「じゃあ、アイス食べに行こうよ」
「ダメですよ」
「なんでよ?」
「寄り道は校則違反です、会長が破ってどうするんですか?」
「もう、栖羅は固いんだから、いいわよ、私一人で行くから」
亜百合は栖羅を置いてアイス屋へ向かった
「ちょっと待ってください、僕も」
「神崎 栖羅君」
「はい」
栖羅が振り向くと眼鏡をかけたスーツの男性が立っていた
「あなたは誰ですか?」
「私は〈殺戮病院〉で外科医をしています、努之 克と申します」
克は栖羅に名刺を差し出した
「これはご丁寧にどうも」
栖羅は名刺を受け取った
「でっ〈殺戮病院〉の外科医の先生が僕に何の用ですか?」
「単刀直入に言います、あなたを入院させに来ました」
「はい?なんて言いました?」
「もう一度言いますね、入院させに来ました」
「お断りします、今は悪いところはないので」
栖羅が立ち去ろうと後ろに振り返ると
「残念ですが、あなたの入院は決定事項なので」
克は栖羅の首筋に何かの薬を注射した
「やめろ」
栖羅は克を振り払って距離をとり、注射された箇所を押さえながら
「何を注射した!!」
「何って大人しく来てもらうために睡眠薬を打っただけですよ、もうそろそろ効いてきますよ」
「なんだと」
栖羅はバタリと眠ってしまった
(思い出したぞ、僕は睡眠薬で眠らされて連れて来られたんだ、という事はここが〈殺戮病院〉?とりあえず、この鎖をどうにかしないと)
栖羅は体から黒い粉を宙に出し、鎖の上にかけるとボロボロとなり千切れた
栖羅はベットから降り、ドアへと近付こうとすると
「神崎 栖羅君、ドアには触れないほうがいいですよ、高圧電流が流れているので」
どこからか声が聞こえるが周りには誰も居ない
「どこを見ているのですか?上ですよ」
栖羅が上を見るとカメラとスピーカーがあった
「あなたは誰ですか?どうして僕が入院しないといけないんですか?」
「私は担当看護士の阜由之 伊津琉です、どうして入院しないといけないのかは、あなたが〈貯菌箱〉(デビルバンク)だからですよ」
「どうして、それを」
「どうしてって、〈黒楼学園〉のメインコンピューターにハッキングしましたから」
「メインコンピューターにハッキングした!?どんなハッキングも防ぐ海月さん特性のファイヤーウォールを?」
「まぁ少し苦労したんですけどね♪世間話はこれ位にして、もう少しだけ眠っていてください」
通気口から白いガスが噴出した
「くっ」
栖羅はガスから距離をとった
「ちょっと栖羅、なにやっているのよ」
(この声は・・・・・)
「誰です、そこにいるのは?」
「栖羅、影を作りなさい」
「はい、安穏会長」
栖羅は体から黒い粉を出し、大きな円型にして影を作った
すると、影の中から黒髪で長髪女子高生が現れた
「良くやったわ栖羅、後は私に任せなさい」
「はい、安穏会長」
栖羅は粉を体に戻した
「まずはこのガスを止めないとね」
亜百合は携帯を取り出し、電話をかけた
「もしもし、亜百合だけどガスを止めてくれる」
そう言うとガスは止まった
「ありがと、海月」
亜百合は電話を切った
「あの、安穏会長」
「なに?栖羅」
「どうして、僕が捕まってるってわかったんですか?」
「あぁ、いつもなら追いかけてくるはずなのに来ないから、なんかあったと思って、未斗魅に探してもらったら、鎖で縛られている栖羅が見えたの、後は柚夢に力を貸してもらってここに来たってわけよ」
「そうだったんですか」
「あなたは誰ですか?」
「ごめんなさい、名前をまだ名乗ってなかったわね、私は〈黒楼学園生徒会〉第74代目会長の安穏 亜百合よ、よろしくね♪おばさん」
「誰がおばさんですって、小娘」
「年をとると怒りっぽくなるなんて嫌ですね、おばさん」
「その口縫ってあげるわ」
ピッ
「さてと、私達も行きますか」
「はい」
亜百合がドア近付くと
「安穏会長、そのドアには高圧電流が流れているので気よつけてください」
「そうなの、海月にハッキングさせたときにはそんな情報はなかったから、深いところまではできなかったのね」
「どうしますか?安穏会長」
「そうね、栖羅の菌で溶かせない?」
「やってみます」
栖羅は右手を前に出し、手の平からサッカーボール位の大きさの黒い粉の菌を出した
「じゃあ、やるのでドアから離れてください」
「わかったわ」
亜百合が扉から離れると栖羅はドアに近付いて菌に息を吹きかけて、ドアへ飛ばすが当たると菌は粉末となり栖羅の体に戻った
「だめです、安穏会長」
「やっぱりだめか、私がやるしかないわね」
そう言うと亜百合はベットに近付き、片手で軽々と持ち上げた
「安穏会長、そんなに力ありましたか?」
「ないわよ、これはね、手首につけているブレスレット型筋力増強装置〈アテナ〉のおかげよ」
持ち上げているほうの手首に金色のブレスレットが光っていた
「そうだったんですか」
「そうよ、第一か弱い私がベットなんてもちあげれるわけないでしょ」
「そっそうですね」
「わかったなら、ちょっとドアから離れなさい」
「わかりました」
栖羅がドアから離れると亜百合はベットをドアに投げつけると吹き飛び、砂煙が起こった
「さてと、行きますか」
部屋から出ると白衣を着た男性たちが待っていた
「やっぱり、こうなるわよね」
「その少年から離れなさい」