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Crimson...Side story
【ファンタジー 恋愛小説】

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White Day -side;arrk--3

 ……あー、何の匂いだ…?

 今日の朝方、仕事から帰ってそのまま寝た。向こうに居た時よりも、こっちの方が格段にキツイ。
 本場なのもあるけど、持ち場が聖樹一本が欠けた北側ってのが原因だろう。だいぶ体力的にも慣れてきたからマシにはなってきたけど、慣れきるまではもう少し時間が掛かりそうだ。

 ベッドのある寝室からリビングに行くと、備え付けられた小さなキッチンにリーが居た。


「……学校はどうした?」

「あ、起きたの? 今日は土曜だから休みだよ」

「ああ、そうか…………そういや、どうやって入ったんだ…?」


 振り向いたリーは少し呆れたように言うと、『大丈夫?』と首を傾げた。どうやら鍵は掛かっていなかったらしい。何度もチャイムを鳴らしても出てこなくて、試しにドアノブを回したら開いたそうだ。確かに帰ってきてからの記憶が曖昧だ。帰って直ぐベッドに直行したから、鍵なんざ全く覚えが無い。


「また、帰ってきてそのまま寝ただろ。シャワー浴びたら? もうすぐ昼ご飯出来るし」


 何かを言い返すことも出来なくて、言われるがまま浴室に向かって、まだ目覚めたてで身体がダルい中、さっさと熱いシャワーを浴びた。


 アイツは感心するほどマメな性格してる。

 こっちに来てから、蟠りも何とはなしに解けたか?って頃から、週末の土日は昼と晩飯を作りにくる様になった。元々、向こうに居た時そうしてくれてたのもあるだろうし、その延長線上なんだろうけど、オレが全くそう言うのをしないことを知ってるからだ。

 シャワーを終えて、リーが作ってくれた昼飯を食べた。それからどうするでもなく、ソファに座ってのんびりってなるのがいつもパターンだ。
 どっかに行きたいとか、何かしたいとか、言わない。退屈じゃないのかって思う。


 案の定――

 テレビをぼんやり見ていたら、肩に重みを感じた。その上、寝息も聞こえてきた。座っているソファはいつも窓から陽が射して暖かくて心地良い。だからだろう、眠くなるのは。

 ただ、学校もあって、同じ様にエクソシストもしていて、ここにも来て……って、どうなんだ。この状況。

 ぐっすりと眠りに落ちたリーはピクリとも動かない。つまり、警戒心は皆無。


「――はぁ」


 思わず溜息が出た。信用なのか何なのかさっぱり解からない。オレが『男』だってことを認識してない気がする。
 向こうにいた頃よりも手も足も伸びて、『子供』らしさが無くなってる。長く伸びた赤い髪も大人っぽさを見せ始めた顔立ちも全てがそれを強調している。笑う時も怒る時も表情そのものが変わってきていて、泣いた時は特に実感する。以前みたいに声を上げて泣くなんてことはなくなった。性格だけは変わらずだが。
 

「も少し意識しろよ。他のヤツなら、襲われたって文句言えねぇんだぞ」


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