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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-3


瑞稀が学校に着くと、時刻は8時。
ちょうど昇降口の扉が開いたところだった。

「さて、どうしようか」と考えていると、自分のすぐ隣を新しい5年生が通り過ぎていく。
手にもっているのは、どうやらクラス発表の用紙。
その紙を見て、一喜一憂している下級生を見て、微笑ましく思った。

「・・そういえば、去年の私もそうだったな・・。」

昇降口に駆けていく下級生を、去年の自分と重ねる。
去年の瑞稀も、騒ぐ程までではないがクラス替えで随分一喜一憂していた覚えがあった。
(喜んではいなかった覚えもある)

そんな思い出に浸りながら、校舎を見上げる。
一年後、自分はここの生徒じゃなくなる。
寂しいかもしれない
でも
楽しみでもある。

そう思えるのは、去年の運動会である人物から言われた言葉があるから。
自分の、励みになっているから。

「・・え!?」

そう考えたところで、自分に驚いた瑞稀。
今まで、そんな風に考えた事はない。
おもわず、口に出したわけでもないのに手で口を覆う。
顔は勿論、真っ赤。

「〜っ!!///」

思わず、ズリズリと身体が崩れ落ちそうになる。
だが、実際、それはできなかった。
身体が動かなかったのではなく、崩れ落ちそうになった瞬間、背中に背負っているランドセルへ、何かしらのやや強い衝撃があったからだった。
そのおかげで、自分の世界から帰ってこれたのだが。

その代わり、前へ倒れそうになり転びそうになるが、そこは耐える。
そして思いっ切り後ろを振り返った。

すると、そこに見知らぬ女の子が立っていた。

「・・え?」

いや、忘れているとかそういうのではなく、本当に全く見たことが無い。
サラサラの、一見すると男の子と間違えそうな程のショートヘア。
間違えずに済んでいるのは、女の子用である藍色のパーカーを来ていたから。
眼鏡をかけていて、小顔。ちなみに身長は瑞稀より低い。
よく見ると、家の鍵だろうか・・鍵らしきものを首からかけていた。

「・・え、えっと・・」
「・・・もしかして、6年?」

どうすればいいのか戸惑っていると、有難い事に相手から話しかけてくれた。
幼そうな外見とは変わって、クールな物言いと声。
明らかに、初めましての人だろう。

「う、うん。6年2組」

どんな初対面の人でも調子を取り戻して普通に話せるようになってしまったのは、5年生の時の一年間が原因だろう。

「あぁ、じゃあ、ウチが行くとこかぁ・・」
「・・行く?」

ぽつり呟かれた言葉を聞き返すと、相手の女の子は瑞稀より先に状況理解が出来たのと、改めて警戒を解いたようで、小さく微笑んだ。

「ウチ、今日からココに転校してきたんだ。柊秋乃(ひいらぎ あきの)。
まぁ、よろしく。」

秋乃の言葉で、やっと理解出来た瑞稀も緊張を解いた。

秋乃は転校生。
瑞稀が見たこと無い人で当たり前だということだ。
つまり、さっきの呟きは、秋乃が編入するクラスが瑞稀のクラスだと分かった事による呟きなのだろう。

状況が理解出来た所で、瑞稀も久しぶりに自己紹介。

「私は、八神瑞稀。ヨロシクね、・・えっと・・」

なんて呼んでいいか分からず、戸惑ってしまう。
そんな瑞稀の様子を見た秋乃は小さく笑うと、微笑みを浮かべた。

「良いよ、秋乃って呼び捨てで。ちゃん付けされても、困るし」
「分かった。じゃあ、秋乃だね!あ、私も呼び捨てでよろしく!」

おどけた風に言ってみせると、それに釣られて秋乃もプッと笑った。
二人は、少しずつ自分のことについて話し始めた。
そして昇降口の混雑が止むと、秋乃を職員室に連れていくため足早に昇降口へ向かった。




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