危ないアルバイト-4
「ごめんなさい、皆さんにも、迷惑をかけてしまって」
「いいのよ。ただ、麗子さんに叱られるんじゃないかと心配したの」
「実は、私も、後ろから、キックが、飛んでくるんじゃないかと、怖かったです」今日子にしか、聞こえない声で話す。
「本当、ドキドキして、見てたわよ」
夕食後、3人連れ立って自室に戻って行くとき、メイドの一人、高島祥子が、声をかけてきた。
祥子は、ロングの髪をローレイヤーでまとめていて、大人しそうな印象だった。
「今日子さん、リサさん、由美さん、少し、よろしでようか?」
「はい」三人の声が、はもる。
「なんでしょうか?」
由美が、恐る恐るたずねる。
「もしかして、麗子さんが呼んでるとか?」
「いえ、少しお話が……」
「祥子さんがお話あるの?」
「はい」
「そっか、よかった、麗子さんに、呼ばれてるのかと思いました」
由美は、安堵した。
「それでお話って?」
今日子が尋ねる。
「高島さん」
いつの間にか、瞳が背後に立っていた。
「ひ、瞳お嬢様」
思いっきり動揺してる。
「高島さん、ちょっと、来て」
「はい、瞳お嬢様」
「あの祥子さん、お話は?」
今日子は、瞳に着いて歩き始める祥子を呼び止める。
「いえ、もう、いいんです」
「はあ?」
3人は、また自室へと向かう。
3人の姿が、見えなくなったとたん、瞳の口調が、きつくなる。
「祥子、あの、3人に話って何?」
「いえ、なんでもありません」
「あっ……痛っ!」瞳は、祥子のお尻をつねっていた。
「正直に話しなさいよ」瞳は、祥子のメイド服のスカートをめくり上げ、パンツをずり下げると直接、臀部をつねり上げる。
「痛い。痛いです。いや、お許しください」
さらに強く、ねじりあげる。
「お、お許しください。お願いします」
リサの提案でバイト仲間同士で親睦を深めるため由美と今日子は、リサの部屋に集まっていた。部屋に備え付けてあった、冷蔵庫から、ビールを取り出して3人で宴会を始めていた。
「乾杯ー」由美は未成年だったが乾杯の一杯だけ付き合っていた。
「にが……」由美は、コップ半分程度をいっきに飲み干していた。
「お〜〜、由美ちゃん、いい飲みっぷり〜、将来、楽しみだねー」
「ふう〜」今日子は、乾杯でグラスを、開けていた。
「おおお〜、今日子さんもやるねー」
「リサさんだって」リサのグラスは、既に空だった。今日子は、リサのグラスに、新しいビールを注いだ。
「おお、サンキュー、私のことは、リサだけで、さんづけなしで呼んでね」
「わたしの事も、今日子だけでいいです」今日子のグラスには、由美が、ビールを注いだ。
「わ、私も、由美って呼んでください」
「由美ちゃんは、由美ちゃんだよ。ねー、今日子」
「はい、由美ちゃんは、由美ちゃんです」
「はい? ? ? なんですか、それは?」
「ねー、今日子」
「ねー、リサ」
「???」
「ねぇ〜、ところでー、2人は。彼ひーいる?」いつの間にか酒量が増えていて、多少ろれつが、回らなくなっていた。
「私は、いません」
「わらひも、いまは、ふりーでしゅ」
「ほんろー?」
「ほんろーだよ。リサこそ、いるのー?」
「いるよー」
「へへへへ、どこまでいったの、彼ひとは〜、おねえーさんにおしえてごらん」
「う〜んとね、どうも、妊娠したっぽい」
「え〜〜〜〜〜〜」
「ほっほ〜〜、で、彼ひは、知ってるのお〜」
「いやあ〜、つい昨日、わかったばかりだひ〜。まだ、連絡ひてないの、ここひぇえたい、ちえんがいだひ〜」
「ほうなんだ、ほうだね、このへん、ちぇんがい、だよんねー」もう、何言ってるか、さっぱりわからない。これで、どうして。会話が、成立するのか、不思議。そんな状態のまま、とりとめとめもない話が、とめどもなく続く。