バスルーム-1
「あぁあ。今日もよく働いたな」
初夏の日曜。夕方の繁華街。
ファミレスでのバイトを終えての帰り道。
まっすぐ帰るには早いので、どう時間を潰そうか考えながら歩いていると、突然、腕をつかまれた。
「センセっ!」
「なんだ由美ちゃんかぁ。びっくりしたぁ・・・」
そこには、ピンクのキャミソールにデニムのミニスカをまとった愛らしい少女がいた。
彼女の高校受験の際に家庭教師を引き受け、無事高校生になってからも、定期試験の度にSOSで呼び出される、俺の可愛い教え子だ。
「わぁい、偶然だぁ」
「そうだね。今日は何?」
「お買い物。でも、いいのないから、そろそろ帰ろうと思ってたとこ」
「そっか。俺もバイト終わったとこだから、よかった送るよ」
「ほんと?ラッキー!」
何がラッキーだかわからないけど、彼女の家まで行けば、母親の麗子さんに会える。
最近、お互いに時間がとれなくて、しばらくデートもしていない。
帰り道、由美ちゃんは明るく学校生活を語っていた。それを聞きながら俺は、彼女の目を盗んで、どうやって麗子さんと・・・なんてことを考えていた。
「センセ、聞いてる?」
「聞いてるよ」
「なんかニヤニヤしちゃって、変なことでも考えてたんでしょ?」
「おいおい・・・」
「あたしとかママとかで、Hなこと考えたりしてない?」
「ないってばぁ。つか、なんでいきなりそういう話になるんだ?」
「べっつにぃ・・・」
一瞬、由美ちゃんに心を読まれたかと思った。
由美ちゃんの家の前。
暗くなってきたのに灯りもついてなくて、なんか留守っぽい。
彼女は鍵を開け、振り向いて言った。
「どうぞ、遠慮せずに入って。知らないうちじゃないし」
笑いながら言う由美ちゃんに続いて上がりこむ。
彼女は、灯りをつけ、エアコンのスイッチを入れた。
「ああ、涼しい・・・。今、冷たいの出すね。座ってて」
応接間のソファーに腰を下ろす。
ここは、俺と麗子さんが時々愛し合う場所だ。
ベッドに行くのも我慢できないときに、そのままここで重なりあうのだ。
互いに服も着たままで、淫らに時を過ごす。
そんな麗子さんの姿を思い出していたら、
「はいどうぞ」
目の前のテーブルに2つのコーラの入ったグラスが置かれた。
由美ちゃんは、そのまま、俺の隣に座る。
甘い香りとかすかな汗の香りがまざったものが、俺の鼻をくすぐる。
「今日、お母さんは?」
「パパが戻ってきたので、二人でデートに出かけた」
由美ちゃんのパパ、麗子さんのご主人は海外赴任中。
今日は、一時帰国したので、水入らずでディナーショーに出かけ、そのまま二人で都内のホテルに泊まってくるらしい。
「へぇ、仲いいんだね」
「妬ける?」
「え?妬ける?なんで、俺が?」
「だって、今夜は二人で燃え上がっちゃうかもよ、久しぶりだから」
「そりゃ、まぁ、夫婦なんだし、いいんじゃないかなぁ・・・」
「いいの?」
「なにが?」
「ママが他の男に抱かれても」
「男って、君のパパでしょうに」
「平気なの?」
「平気も何も、俺がどうこう言う話じゃないだろ?」
「嘘!!」
由美ちゃんが叫んだ。
「あたし見たもん。センセとママが愛し合ってるとこ。ベッドでも、ここでも・・・」
「え・・・」
「具合悪くて、学校早退して帰ってきたら、センセの靴があって、あれ?って思ったら、ベッドルームから声がしたの。こっそり覗いてみたら、センセとママが裸で抱き合ってた」
「う・・・」
「あたしだって、もう子どもじゃないから、それがどんなことかはわかったわ」
由美ちゃんの顔が赤くなっている。
「それから、気をつけてママを観察してたら、ピンと来る日があったの。その日も学校早退して、こっそり帰ってきたら、二人、ここで抱き合ってた。服も着たまま、あそこだけ繋がってた・・・」
「・・・」
「その後も、何度も見ちゃった。二人とも、夢中になりすぎて、全然気づかないんだもの・・・」
「・・・」
なんてことだ、すっかり知られてた、いや、見られてたとは・・・
でも、今、それを言い出して、どうするつもりなんだ?
「ずるいよね、ママ」
「ん?」
「パパもいるのに、センセとエッチなことするなんて。絶対ずるい!」
「はい??」
「あたしだって、センセに抱いてもらいたかったのに・・・」
そう言いながら、由美ちゃんは俺の脚の上に跨ってきた。
「センセ、大好き。あたしも抱いて、ママみたいに・・・」
「いや、由美ちゃん。落ち着いて。自分が何言ってるかわかってる?」
「わかってるわよ。ずっと、センセが好きだったんだもん。なのに、ママと…。だから、あたしも抱いてもらうの」
由美ちゃんが、俺の身体にしがみつく。