事務服で犯る-1
月曜日が来た。雅江はなんとかごまかして健太郎との不倫はばれずにすんだ。まだ体に健太郎との熱い夜が残っている。しかし罪悪感も感じていない訳ではなかった雅江。
車を駐車場に置き会社に入るまで、どんな顔をして健太郎と会えばいいのか分からずにいた。これから健太郎は求めてくるだろう。それを受け入れていいのかどうか悩んでいたりした。
健太郎の携帯番号とメアドの登録は川田智子という偽名で登録してある。携帯をチェックされた時にバレないようにと、健太郎のアドバイスだった。昨日、帰った後に一回メールが来た。それだけでバレないかドキドキしてしまった。不倫に悩む雅江。ロッカーで事務服に着替え廊下に出ると、ばったり健太郎に会ってしまった。
「あっ…」
戸惑う雅江に健太郎が寄ってきて耳元で言う。
「改めて見ると、やっぱいい女だね、雅江さん!」
「え…、あ…」
ニコッと笑って事務所に入って行った。
(そんな事言われたら…私…。)
褒めてくれる健太郎が嬉しく感じる。自分の中で既に諦められない存在になっている事に気づいてしまう。雅江は事務所に入り席に座ると、まず健太郎を見てしまう。
(あっ…)
健太郎もこっちを見ていた。ドキッとして視線を外してしまったが、すぐにもう一度視線を戻し、照れくさそうにニコッと笑った。何か二人だけの秘密みたいで新鮮な気持ちになる。お互い仕事を始める。
(好きになっちゃったのかな…。)
あれだけマズいと思っていた不倫も、その見方が変わっていた雅江だった。
(不倫て…そんなに悪い事じゃないのかな…。)
自分を満たしてくれる健太郎の指先が忘れられなくなっていた。