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なんてこと無いはずだった旅
【ファンタジー その他小説】

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なんてことは無いはず-1

※ この物語には,ソードワールドと関連が深かったり,浅かったりする

一匹のタビットがいた,まだ幼く小さかった

両親の元で愛されて育って,そして普通の幸せを得ていた

彼は両親から聞かされた自分という,タビットという種族は「神々の戦いに敗れ,その姿に呪いを受けている」

…胡散臭くも感じる,かなり好都合な話にも聞こえるかも知れないが

その言葉を鵜呑みにして信じた,どういう経緯があるとか,どういう話の広がりでそこに至ったかなんてどうでもよかった

ただ自分が「神様」なんだって事をただ信じた


冒険者だった両親は,たびたび冒険者ギルドである酒場を利用して,冒険を楽しんでいた
母さんも冒険者だった,危険な場所へと行くことも度々ある中 苦しみがまるで見えない
好奇心で生きているのが元々だったし,俺もそうだ,楽しけりゃいい

そこで頼まれた依頼に連れて行ってくれるなんてことは,一度も無かった

何せ危険なんだから

にしてもクソッ

本当に楽しそうなツラで話すよな,その冒険のことをよ,よっぽどに面白いんだろうか
尾ひれなりが付いてそうな位の馬鹿げた話をしてくれる
本当に楽しそうな顔で話す親父の顔が羨ましい

トロールとの戦いに炎を帯びた剣,ビックリするような罠の仕掛けられたダンジョンの話にと

並べて話してその良く回る舌はどうなってんだ,と聞きながらも夢中になっていた

幸せそうに話す、親父の隣でお袋は、ただ静かに目に見える幸せの形を嬉しそうに見てた。

 興味があること、楽しそうな事があるとすぐに世話になっていた宿を出て,世話になっていた酒場に挨拶してから旅立つ,そんな風に自由に生きてた,まるで風のような人たちだ

 きっと俺もそんな風に生きるんだろうと両親を見て感じていた

9歳になった頃だ,タビットで言えば成人のちょっと手前あたりだ
見た目に眠そうでやる気無さそうな赤い目が特徴的で,真っ白な体毛に肩下げカバンの中にはいつも役立つ物も,いらない物も一緒にごちゃごちゃになってた
そんな俺が
旅立つ事を両親に告げると,あっさりと了承を得る

…いいのかそれで,一人旅に出るってのに、この二人はまるで心配などしてない

操霊術と呼ばれる補助魔法の簡単な一部だけを習っていたが…すまん,才能とかどうとかじゃない大してやる気無かったせいか,ロクに覚えてないんだ その呪文

別段不安もなかった,なにせ「神様」なんだし俺,きっとなんとかなる
そんな勢いだけの旅立ちだった

そして別れるまでの間に幼い頃の思い出に,どう生きてたか,そんな思い出話をされる
父は自分の旅立ちの話をし始めると,もの凄い勢いで華美に装飾されてるのだろうかと思うくらいの話を捲くし立ててしてくる,物凄い勢いで舌が回りやがる

母さんは無口な訳じゃないが,俺が生まれた頃の話に,無事に生きるための知恵を与えてようと色々と教えてくれていた

なんだかなぁ…さっきまではなんとも無いって二人ともそんなツラしてたのによ

急に過去に振り返ってそんな話をされると胸に流れてくる侘しさが辛くなってくる
勢いだけだったのが,駄目だったのか引き返して旅立つなんてやっぱ無しよと言いたくなる

…引き返さなかったから旅に出てるんだけどね、きっかけを失うことの方が怖かったんだ


花の国と呼ばれる”フェンデル”で別れて,そして始まっていた俺の旅


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