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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2


担任の話が終わり、クラス全員で掃除に取り掛かる時にやっと顔の火照りが取れた瑞稀は拓斗と一緒に廊下に向かった。
あまり汚い訳ではないが、それでも春休みに掃除をしてなかった分、
綿ゴミが存在を強調していた。

「とりあえず、ホウキとちりとりだね」
「あぁ。・・面倒」
「今小声で面倒とか言ったっしょ。押し付けるよ?」
「げ。勘弁してくれよ・・」
「アハハ!」

ホウキとちりとりを持って二人はもう一度廊下に出た。
すると、一足先に菜美がホウキで綿ゴミを集めていた。
その姿を見た瑞稀は、一瞬驚いたが、とりあえず声をかけてみることにした。

「ゴメン、遅くなって。ありがと!」
「あ、大丈夫。えっと・・八神さん?」
「そ!八神瑞稀。よろしく」
「笹野菜美だよ。よろしくね」

瑞稀は笑顔で自己紹介。
菜美もそれに答えた。

「あ・・」

すると、菜美は瑞稀の隣に立っていた拓斗に目線を映した。
その視線を感じた拓斗は、顔を背けた。
そんな拓斗に気づかない振りをしているのか、菜美は瑞稀に自己紹介したときよりも、
笑顔になった。

「“拓斗”君も、またヨロシクね!」
「・・あぁ」

菜美に対して、軽く言葉を返す拓斗。
瑞稀は、菜美の言葉に引っかかりと、ちょっとした気持ちを覚えた。

「(・・名前、呼びなんだ・・)」

そう、ちょっとした・・誰でもあるような気持ち。
“嫉妬”・・と呼ばれるモノ。
だけど、鈍い瑞稀は、勿論、今自分が感じている気持ちがそれによるものなんて分からない。
分からないからこそ、タチが悪いというか・・。
瑞稀の元気を奪うには十分だった。

「・・・」
「八神?どうした?」

すっかり黙ってしまった瑞稀を見て、拓斗が心配し声をかける。
菜美も、瑞稀に視線を送っていた。

「あ、ううん!なんでもない!早く掃除終わらせちゃおう!!」

我に返った瑞稀は、気持ちを悟られないように笑顔を二人に向けた。
その笑顔を見て、安心したのか拓斗は小さく笑うと集めた綿ゴミをちりとりに。
瑞稀も、その作業を手伝う。
菜美は、何とも言えない表情をしていた。

こうして、掃除も終わり、小学校高学年スタートの一日目が終了した。


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