別離の間〜Side:F〜-7
「私がやります」
すかさず立ち上がったキャラに会場がざわめき、歓声があがった。
キャラはドレスの腰に手をやり、まとわりついていた長いスカートをバサリと翻して外す。
下にはミニ丈のタイトなスカートに膝まであるブーツを身につけていた。
この日の為の特別なドレス……ちなみに、色は燃えるような赤。
『おぉっとぉ!!ファンのキアルリア姫が名乗りをあげたぁ!!』
司会者の声に会場は大盛り上がり。
「グロウ!!」
キャラは主役席から飛び降りながらグロウを喚ぶ。
これも演出のひとつ。
キャラとグロウのコンビを見ようとやって来ている観客へのサービスだ。
光と共に現れたグロウはキャラを背中に乗せて軽やかに着地する。
そのままゆっくり男の待つ広場中央へと脚を進めると、観客から歓声と花吹雪が飛んで来た。
『迎えにきたな』
グロウはニヤニヤとキャラを見る。
「色気がねぇなぁ……」
花束持って迎えに来いとは言わないが、バトルはないと思う……。
キャラはグロウから降りると、棍棒を手に取って会場中心へと進んだ。