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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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再会のバトル-1

 島国ファンの城の中庭広場で行われている、ファン主催の『格闘10人抜きバトル』はクライマックスを迎えていた。

 9人目を倒したアースは大きく息を吐くと首をコキッと鳴らす。

(思わず熱中しちまった……)

 元々、こういうお祭り騒ぎは大好きなのだ。

『ついに9人目が倒れたあ!!さあ!10人目に挑戦するのは誰だあ!!』

 司会者が拡声器を使って盛り上げつつ、大袈裟に会場を見渡した。

「私がやります」

 懐かしい声にアースが振り向くと、主役席でワンショルダーの赤いドレスを纏ったキャラが立ち上がっていた。
 キャラの横には白いドレスの花嫁らしき女性が両手を握ってハラハラした表情をしている。

(あ……なんだ、キャラが花嫁じゃなかったのか……)

 バトルに熱中していて、やっと今気づいたアースは心底安堵した。
 そんなアースの心の内を知らないキャラは、手を腰にやってまとわりついていた長いスカートをバサリと翻して外す。
 どうやらミニ丈ワンピースの上に巻スカートでドレス風にしていたらしい。

『おぉっとぉ!!ファンのキアルリア姫が名乗りをあげたぁ!!』

 大声で騒ぎたてる司会者に、アースはツツツと近寄って耳打ちする。

(もしかして……やらせ?)

 しっかりブーツまで履いているという事は、始めから戦う気があったという事だ。

(ご名答。うちの姫様は強いぜ?残念だったな)

 司会者はパチリとウインクして笑い、それを聞いたアースは天を仰いで脱力する。

(あ〜…くそ……勝てる気しねぇ……)

 ゼビアにいた時に訓練に付き合ってもらっていたが……勝った事がない。
 キャラは主役席から飛び降りながらグロウを喚び、その背中に乗る。
 地面に降りたグロウがアースと視線を合わせてニヤリと笑った。

(うわぁ……気づかれてる……)

 グロウに乗ったまま進むキャラは歓声と花吹雪を浴びている。
 長い棍棒を手に取ってグロウから降りたキャラは、緑色の目でアースを睨んだ。

(う〜…今、言い訳するわけには行かねぇし……)

 考えたアースは無頼者を装う事にして、ニヤリと笑った。


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