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異形の妻乞い
【近親相姦 官能小説】

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第13章 -1

和やかな、姉弟二人の睦まじい田舎暮らしに風雲急を告げる一報が届いたのは、弦一郎が林に依頼をした実にその日の事だった。

『ゆりえさん、うちの者が村に入ります。案の定、林っていう私の懐刀から連絡が来ましてね。…ええ。林には依頼を受けとくよう言っておきましたから一応村にむさくるしいのが何人かお邪魔します。ですんで、慧次郎さん達には早急に日本を発つように連絡したってください』
関西最大勢力の広域指定暴力団、親和会会長からの連絡は“いずれそうなるだろう”とゆりえが以前から予想していた事だった。
『それにしても面白かったですよ。あの男、とくとくと貴方がたの事を林に話したようでしてね…。こちらはそんなこと百も承知だって言うのに』くっくっ…と面白くて堪らないと言った様子で思い出し笑いをしながら親和会会長はゆりえに報告した。
弦一郎ももう少し想像を広げて調べるべきだったのだ。親和会隆盛の不思議を。
『…ああ、大丈夫です。お二人の旅券とパスポートは明日にでも慧次郎さんの手元に届くよう手配済みですから』

ゆりえからの一報を受け、慧次郎は早希を内線で呼び出した。
弦一郎が、慧次郎を危険に晒す事も辞さず広域指定暴力団に自分の奪還を依頼したと言う一報に、早希は愕然とした。そして自分が弦一郎の手の届く所にいる限り、この件は収まりがつかない事も悟った。
『…わかった。慧ちゃん、ついて行く。言ったでしょ?ずっと一緒よ』早希は決然と慧次郎を見つめた。

その日、慌ただしく身の回りのものをまとめ、翌日、夜もまだ明けきらぬ早朝に二人は門に向かって走った。門の外には4輪駆動のジープが停まっていた。ドアを開けて早希が乗り込んだのを確認するや慧次郎はエンジンをかけた。ミラーの隙間に手を入れて何やら取り出すと、それはパスポートとチケットだった。
『これ、姉さんの分。そこに書かれてある名前と生年月日、念の為に覚えておいて。あと、搭乗してから向こうに着くまで接触できないから』
慧次郎はジープをフルスピードで走らせながら片手で起動させたままのPCでスカイプチャットを始めた。傍受されてもにわかに解られないようにとの考えなのだろうか、やりとりはフランス語だった。だが相手の声に聞き覚えがある。ゆりえの声だ。
『今からあなた達の新居の住所とアクセス方法をメールします。読んで覚えたらすぐに削除しなさい』それだけ指示があってスカイプは切られた。
すぐさまメールボックスを開いて読み込むと住所とアクセス方法のみの書かれたメールが届いた。着信音に早希も思わず覗き込む。『姉さんも念の為に覚えて』と言うや慧次郎はそのメールを削除してしまった。『あ…』と思わずその思い切りの良さに驚くと、『姉さんももう覚えたろ?』と横目で微笑んだ。確かに覚えた。そもそも早希は昔から何かを覚えるのに苦労したことがない。

3時間程で空港に着くと、慧次郎は『姉さんはここで下りてそのまま搭乗手続きをして』と早希に告げた。早希が入り口を目指して走りながら後ろを見ると、そこに上背のある40絡みの男性が慧次郎のジープに近寄った。慧次郎はその男の目の前でジープを止めた。その隆々とした体躯は村の人間だろう。早希はもう村の人々の身体的特徴に多くの共通点があることに気付いていた。
男性は慧次郎から鍵を受け取るとそのまま二人が来た道を走り去っていった。


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