少年達の戯れ-3
「緊張してる?」
やがて和希が、そう問い掛けてくる。
「大丈夫だって」
「じゃ、さっさと始めようぜ」
「ああ」
「触るぞ?」
和希の言葉に、博人はぎこちなく頷いた。何とか平静さを装うとするも、今やすっかり身体はガチガチになってしまう。
無言で、和希の手が博人のペニスへと伸ばされる。
「っ……!」
博人は息を呑んだ。和希の指がペニスへと絡められてくるや、股間の奥底から熱い疼きが急速に高まりを増していく。
そのまま和希は、ぎこちない手付きながらも博人のペニスを扱き始める。
「あっ……ああっ……」
痺れる様な感覚が駆け巡り、自分で聞いて恥ずかしくなる様な甲高い喘ぎが、博人の口から自然と洩れ出す。
「博人も……早く……」
すっかり性感に耽溺していく博人へと、和希は強く求めてきた。
そんな和希へと、無意識に博人は手を伸ばしていく。
博人の手で同じ様にペニスを弄られるや、強張った和希の身体がブルブルと震える。
「すげぇ……いい、気持ちいい……」
「和希……もっと強く擦って……」
博人も和希も、いつしか無我夢中に手を動かし相手のペニスを激しく扱き立てていく。
単純なまでに消え去っていく理性。自分達のしている行為の善悪や是非などもはや関係なかった。火照った欲望を互いの手でいっそう昂ぶらせていく中で、その悦楽を求めるという以外に一切の思考は停止してしまう。
「んっ……あぁっ……」
荒い吐息と身悶える声を上げながら、和希は大きく背筋を仰け反らせた。
「だ、だめ……もう俺……限界っ……!」
「和希、俺もっ……!」
その瞬間、少年達のペニスから勢いよく白濁が噴出する。
内なる何かが爆発する様な強烈な感覚。それは今まで博人が自らの手で導いてきた射精の比ではなかった。
和希もまた、放心状態となりながら腰をビクビクと震わせる。
白濁にすっかりペニスや互いの手が塗れる中、博人と和希はしばらく脱力したまま呆然自失となってしまう。
やがて、最初に和希が言葉を呟いてきた。
「どうだった、博人……?」
「き、気持ちよかったけど……和希は……?」
力なく、博人は答える。
「俺も……最高だった……」
和希はそう博人へ返してきた。
射精の余韻も覚めていくに連れ、自分達の行為を思い返しながら博人も和希も居たたまれない気まずさで一杯になっていく。
「……もう一度言うけど、この事は内緒だからな」
和希がそう言ってきたため、無言で博人は頷いた。
「絶対だからな」
「分かってるって」
しつこく博人へ念を押すと、急に和希は口元をフッとほころばせてくる。
「秘密が出来ちまった以上はしょうがないよな」
「え?」
「俺達だけの秘密ならさ、それが一回だろうが百回だろうが変わらないんじゃね?」
和希のその言葉に、思わず博人は苦笑した。そして同時に、心の中にあったモヤモヤした気持ちが一気に晴れていく。
「和希、ホントお前ってエロ過ぎ」
「うっせぇ、最初の言い出しっぺは博人だろが。それにさっきまでの博人、すっげエロい顔と声出してたくせに」
「いーや、和希の方がエロかったね」
「俺はお前に仕方なく合わせてただけだ」
そんな言い合いをしながら、博人と和希は無邪気に笑い合うのだった。