PiPi's World 投稿小説
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No237-01/19 20:21
女/稍(やや)
SN25-uvrABlXC
『Animal』

夕食は鶏肉だった。
美しく澄ました様子で
白い皿の上で
色とりどりの野菜たちとともに

キッチンで皿を洗う
目を上げたさきの曇り硝子に
油で真っ赤な私の唇が
くっきりと浮かぶように映る。
血の通った動物の、
それは間違いなく血の紅さ。

ああ、まだ、
私はこんなにも動物だったと思う
すこしがっかりして
でもとても安心して
No236-01/19 01:44
男/垣森悠稀
PC-ikIZ0BwF
今すぐ卒業できるほど
君はオトナじゃなくて
今すぐ戻ってくるほど
君はコドモじゃなくて

あの日の君はここへ
あの日の私はここで
ウタに惹かれて

森へと向かう足跡
森を抜けてく木霊
踏み固められた地面
それを道と呼ぼう

何も言わなくていい
声は聞こえてるから
何も答えなくていい
もう心は伝えたから

振り返らずに迷い
振り返って戸惑い
また歩き出す

寒空の下で
北風に向かって
足の向くまま
気の向くままに
No235-01/18 23:05
男/島和樹
N701i-51JUWDyx
この電車に乗って
何処かに行ってしまいたい帰りの切符なんていらない辿り着いた場所が
僕の終点だ


こんなレールを
走っている僕なんて
いつか脱線しちまう


この電車は
何処へ行くのだろう
僕は
何処へ向うのだろう

by.shima
No234-01/17 19:15
女/沙耶
TS32-i0o94RxX
『好きだ』

『……うん、知ってる』


そう言って、
いつも誤魔化してきた。

貴方の本気が分からずに、
曖昧な笑顔で。

卑怯なあたしの本気なんてきっと、貴方には皆無。

貴方はいつも切なさを隠せない顔で、言った。

『なら良い』


嗚呼、あのときどうして

踏みだせなかったんだろう。

『私も』

その一言で、
貴方とあたしの関係は変わっていただろうに。

卑怯なあたしは、今は独り、

曖昧な笑みを浮かべ、
皮肉にも『Black Devil』の紫煙を吹した。
No233-01/17 13:34
女/稍(やや)
SN25-uvrABlXC
『Life』

私の人生に価値が有るなんて
思っちゃいないけれど
すくなくとも
私が今まで出会ってきた物達は
信じたい

過ぎ去って行った友人
汚れたぬいぐるみ


あのひととの思い出
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